夏の1日と彼の優しさ?-22
「ふぅ、ん…やっ」
それをも舐めとりながら猛の強引な口づけで徐々に力が抜けてきた美咲が出来るのは、身を捩りながら少しでも抗議を口にしようとすること。だけどそんな美咲が抗議したところで猛の耳にはただの甘い声、しかも誘われているかのような吐息に猛はありったけの理性をかき集めていつの間にか着せられていたTシャツの中の美咲の肌に触れたいと願い欲望を辛うじて抑え込む。
「…――き」
理性は欲望を抑え込むことに使っている。だからこそ、自分が何を口走っているのか意識していなかった。
「み――き…」
口内を蹂躙しながら何か言葉を漏らしていることに気付いた美咲は、途切れ途切れの意識の中でそれを聞こうと耳を澄ませた。
「――…美咲」
「っ?!」
不意に聞こえたのは、辛そうに自分の名前を呼ぶ眼前の猛。まるで何かに耐えているようなその声に美咲はつい抵抗を止めてしまい、それに違和感を感じたのか猛はようやく口を離して顔を離した。
息の荒い美咲に、唇を引き結ぶ猛。
「はぁ…下鷺く――」
「悪い、やりすぎたな」
猛に声をかけようとした美咲の言葉を遮り、猛は体を起こしてベットの縁に腰をかけて美咲から離れた。それを見て、美咲も上半身を起こすけど何を言っていいのか分からなくて丸まった猛の背をただ見つめる。