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ドミニク、それは……
【その他 官能小説】

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私の若い部分-1

電話が鳴ったので受話器を取った。
「はい、もしもし」
「そちら山崎さんのお宅でしょうか?」
女の声がした。
「はい」
「私、アトランタ生命の篠原という者ですが、お得な保険の新製品をご紹介しようとお電話したのですが、山崎徹さんご在宅でしょうか?」
「今両親とも留守にしています」
「ああ、息子さんですか? いつ戻られるでしょうか」
「2人で旅行に出ているので、1週間くらいは戻りません」
「そうですか。それでは改めて掛けなおします」
受話器を置くと横にいた妻が笑い出した。
「全く、あんたは声が若いからね。売り込みの電話を断るのにもってこいだよ」
その通りで、私が電話に出ると、相手は必ず若い男性と間違える。
特に私が仕事を定年退職してから暇に任せて歌の練習をするようになってから、それが多くなった。
若い頃はバリトンの声が素敵だとよく言われた。それは実際よりも大人に見てもらいたくて低音の声を出すように心がけていたからだ。
だが年をとると逆に若く見てもらいたくて高音の声を練習するようになった。
ただの裏声だときんきら声で不自然な声になるが、息漏れ音を混ぜてファルセットにすると自然な高音になる。
始めは歌のときだけ出していたが、そのうち喋り言葉にも使うようになった。
見かけはどうしても年相応だが、私は声と手だけは若いと思っている。


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