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THANK YOU!! 〜 After story 〜
【純愛 恋愛小説】

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THANK YOU!!-6



シャワーを浴びた熱とは全く違う、拓斗自身の持つ熱を握られた左手から感じた瑞稀は恥ずかしくなって身を固くした。
その緊張している瑞稀の顔を真っ直ぐ見つめる拓斗の顔にも、剣道の試合で見せる緊張感よりも遥かに真剣さが現れていた。
少しだけ、二人の間に静寂が生まれて視線を合わせる。
先に口を開いたのは・・拓斗。

「・・瑞稀。」
「・・・な、なに?」
「・・一週間だけじゃなくて、これから、ずっと一緒に居て欲しいんだ」
「・・・・・・・・え・・?」
「3年かかったけど、やっと渡せる」

言葉の意味が理解出来ていない瑞稀に、拓斗は先程取り出したある物・・小さな四角い箱を手渡した。渡される意味も分からない瑞稀はおずおずと拓斗を見上げる。
その拓斗が開けてみてと言うので、ぎこちなく、躊躇いがちに箱を開けた。
そこに入っていたのは・・よく恋愛ドラマで見る、幸せの象徴・・。

「・・指、輪・・」

紫色のクッションの真ん中に立てられている、細いラインのシンプルなモノ。
思いがけないプレゼントに、やっと今自分に起きていることの全てが理解出来た。
理解できて、涙が溢れた。
ふと脳裏に蘇るのは、3年前に約束した拓斗との“永遠の約束”・・。

「今すぐって訳じゃないけど・・あの時の約束、果たしたい。」
「・・たく・・」
「・・俺と、結婚して下さい」
「・・・!!」

頭のどこかで、このセリフを聞くことを願っていた。その瞬間が訪れた事に、瑞稀は素直に嬉しくなった。
人生二度目のプロポーズ。しかも今度は口約束などではなく、誓いの指輪を渡して。
流れる大粒の涙を拭うことよりも何よりも先に、瑞稀は強く何度も頷いた。
それだけの答えだったけれど、何よりも嬉しい答えに拓斗は張り詰めた緊張を解いた。
指輪の入っている藍色の箱をギュッと抱きしめながら涙を流す瑞稀の頭をそっと撫でる。

「・・・本当に、俺で・・良いの?」
「うん、うん・・!拓斗が、良い・・!!拓斗しか、考え、られないよっ・・!!」
「瑞稀・・」

泣きじゃくり、しゃくり続ける瑞稀の顔を上げさせる。
嬉し涙で濡れた頬にゆっくりと手を滑らせて、指先でその涙を拭う。
その優しさに瑞稀は身体を預けると、強い力で抱きしめられた。
いつもなら小さな抵抗を示すのだが、今はその力さえも愛おしい。まるで、永遠に自分を離さないと言ってくれているようで。
自然と、今日何度目か分からない視線を交わせる。
その距離が0になったとき、二人は3年ぶりのキスを交わした・・。
約束を果たす為の、誓いのキスとして・・。


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