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進め!日比谷研究所
【コメディ 官能小説】

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進め!-24

「そうか……ん、春樹さん? メアよ、お前は春樹を春樹さんと呼んでいるのか?」
「……何処かおかしいでしょうか?」
 一切の動揺もなく答えるメア。ここまで堂々とされていたら、さすがの朋子も何も言えなくなってしまう。
「……いや、問題はなかろう。よくやってくれたな」
「はい、マスター」
「疲れておるところ悪いのだが、あたしの仕事を手伝ってくれぬか?」
「仰せのままに」
 心配する要素なぞ一切なく、メアが春樹の味方になっているということもバレることなく報告は終わっていた。
 本来ならば突っ込みどころが満載なのだが、メアのポーカーフェイスと朋子が仕事で疲
れているという条件が合わさって無難に終わってしまっていたのだ。
 だが、バレていないのは現時点でということであって最終的には朋子にはバレてしまうこととなる。
 そして、そのバレてしまった結果が――

「は、博士……? どうして僕はこういう状況になっているのでしょうか?」
「どうして自分がそうなっているのか心当たりはないのか?」
「心当たり……ですか?」
(心当たりなんてありすぎて、どれか分からないよ……)
「ふむ、どうやら心当たりがあるようだな。聞いておいてやるから言ってみろ」
 朋子の無慈悲な言葉。この言葉の恐ろしいところは、春樹の言う言葉が朋子の求めてい
る言葉なのかが分からないという点だ。
 同じことを思っているのなら問題はないが、もし違うことを言ってしまったのなら非情
に拙いことになってしまう。
 何故なら、朋子に知られていないことを一つ教えてしまうことになるのだから。下手を
すれば余計に朋子を怒らせてしまう可能性もある。そういう意味では実に恐ろしい言葉なのである。
「えっと、本当に言わないといけないんですかね……?」
 少ない可能性を求めて聞いてみる。だが結果は春樹の想像通りで、
「当たり前だろ。そのために、こうして春樹を縛っておるのだからな」
 ロープでガチガチに縛られてしまっている春樹。まるで犯罪者でも捕らえているかのよ
うな感じで身体を縛られているのだ。
「え〜と、出来れば言いたくないですね」
「却下♪」
 最上級の笑みを浮かべて春樹の言葉を却下する。
(うぐぐ……どれを言うのが正解なのか全然分からない。ここで間違った言葉を言うのだ
けは絶対に嫌だし……)
 春樹は思考を巡らせながらつい先日、自身の味方になってくれたメアを見やる。
(め、メアさん助けてくださいっ!)
 しかし、その一縷の望みで求めた助けは叶うことがなかった。
「…………」
 春樹に見られた瞬間、すぐさま視線を逸らすメア。
(えぇっ!? ちょっ、何で!? メアさんは僕の味方になってくれたんじゃ……?)
 男性器できっちりと調教をし、自身の味方になるように働きかけたというのに、アッサ
リとそれを裏切る。
「春樹よ、誰を見ておるのだ? 言っておくが、メアはあたしの味方だからな……」
「――っ!?」
 味方という部分を強調して言葉を紡ぐ朋子。バカにでも分かるような台詞回しに春樹も
朋子が怒っている理由と、メアが寝返ったことを理解してしまう。
(ま、拙いよ。これって僕が一人になってしまったってことだよね!?)
「さて春樹。あたしが怒っている理由とお前が縛られている理由を言ってもらおうか」
「あばばばばばば……っ」
 壊れた機械の如く意味の分からない言葉を発する春樹。
「こら、春樹! 早く言わんか。あたしはそこまで気が長いわけではないぞ?」
「は、はひっ!?」
 壊れて、現実逃避しようとしていたが、朋子の言葉で一瞬にして現実に引き戻されてしまう。
「春樹! 答えよ!」
「……はい、答えさせていただきます……」
 もう何処にも逃げ場はないと悟った春樹は、大人しく白状することにした。
「博士が僕にけしかけたメアさんを僕の味方にしようとしました」
「ほう、どうやって味方にしようとしたのだ?」
「そ、それも言うんですか!?」
「当たり前だろ。あたしはそれを問いつめておるのだからな」
「うぅ……っ、メアさんがお仕置きをすると言って、僕にエッチなことをしようとしてい
たんですけど、メアさんが性の知識があまりないようだったので、それを利用して逆に強
調してやろうと……はい」
「ヘタレの変態のくせにメアを調教しようとするとはな……」
「はい、すいません。ほんとにすいません」
 何度も何度も謝罪の言葉を繰り返す。
「今更謝ってもらおうとは思っておらん。それよりもあたしは春樹にお仕置きをしたいのだ」
「は、はい……」
「勿論、そこで呆けているメアも同時にお仕置きをするぞ?」
「わ、ワタシもですか!?」


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