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進め!日比谷研究所
【コメディ 官能小説】

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進め!-1

 この町には有名な噂がある。
 町から見える山の少し奥にある研究所があると。そして、その研究所には物凄い変わり者が居ると。
 日比谷、科学研究所。そんな変わり者が住んでいると噂の研究所。人気の少ない山奥に
そびえる怪しげな建物。その研究所では日々、怪しい物が開発されていた。

「ふむ。この何処でもお掃除ロボはなかなかの出来だと思うのだが?」
「名前の割りには凄く普通の見た目ですね」
「姿形に拘るのは三流の科学者がすることだ。超一流の科学者は見た目なぞに拘らず性能
で勝負をするものなのだよ」
「博士……前回と言っていることが逆転してますよ。それはさすがに科学者としてどうなんですかね」
「……そんな過去のことなぞ覚えておらん! そんなことよりもいちいち過去のことをネ
チネチ、ウジウジと言う男の方がどうかと思うぞ」
「ちょっ、男がどうとか言い出すのは卑怯じゃないですか!?」
「卑怯でも何でもない! 大体、助手の分際であたしに意見をするお前が悪いんだ!」
「いくら博士でもそれは言いすぎでしょ!」
「ヤルのか!?」
「ヤリませんよ!」
 ぎゃぁ、ぎゃあ、と自作のお掃除ロボを無視して口喧嘩を始める二人。
 二人の関係は、日比谷科学研究所の博士と助手という関係である。若干、古風な話し方
をしている博士と呼ばれている方はこの研究所の最高責任者で(と言ってもこの研究所に
は彼女と彼の二人しか居ないわけだが)噂の変わり者である。そんな噂の変わり者である
彼女――日比谷朋子は日々変な物を作っては助手である彼に文句を言われている。
 日比谷科学研究所の最高責任者である朋子に文句を言う助手――彼は竹内春樹。幸か不
幸か朋子の下で働くことになってしまった青年である。
「ふん……っ、春樹。ほんとお前は張り合いのない奴だな」
「張り合いのない奴で結構ですよ。それよりもこおお掃除ロボットの性能を見せて下さいよ」
 見た目は非情に普通の掃除機なのだが、その性能は見た目では分からない。曲りなりに
も天才科学者と言われている朋子の発明品なのだ。見た目からは想像出来ない素晴らしい
性能があるのだろう。
 それを期待して朋子に性能を問いかける。
「気のなるのか? あたしが作った、このお掃除ロボが気になるのだな?」
 性能を聞かれたのが嬉しかったのか、得意気な顔を浮かべ気になるのかと聞いてくる。
「はぁ……まぁ、性能は気になりますね」
「そうか、そうか。そんなにもあたしの発明が気になるのだな! 仕方ないな、春樹がそ
こまで言うのならお前にこのお掃除ロボの性能を披露してやろうぞ」
 ババーンとまるで効果音でも出そうな勢いでお掃除ロボの性能の説明を始める。
「いいか春樹。このお掃除ロボは普通の掃除機とは雲泥の差がある。見た目は普通かもし
れないが、その性能は使用者全員が驚くほどのものなのだよ。これを使ってしまうと、も
う他のモノが使えなくなってしまうほどにな!」
「……で、具体的な性能は何なのですか?」
「ん……? だから言っておろうて、このお掃除ロボは凄いのだと」
 何をバカなことを問いかけているのかといった表情で春樹を見やる。
「い、いや……だからですね、そのお掃除ロボが凄いのは分かりましたけど、具体的にど
う凄いのかが伝わってこないんですよ」
「ふむ……今の説明で分からんかったか。あたしとしては分かりやすく説明したつもりだったんだがな」
「欠片も分かりやすくなかったですって」
「仕方ない奴だな。猿にも……春樹にも分かりやすいように自分自身で実際に使ってみるといいだろ」
「猿って……何気に酷いことを言われてるけど、確かに自分で使った方が言葉で説明され
るよりは分かりやすいですね」
「あまりの性能に驚いて死ぬんじゃないぞ?」
「さすがに、それはあり得ませんって」
 笑えない冗談を言いながら朋子が作ったお掃除ロボのスイッチを入れる。
「……ん? あれ? スイッチを入れても何も起きませんよ?」
 カチ、カチ、と何度もスイッチを入れるが何かが起きる気配が一向にこない。ただただ
カチカチという無機質な音が響くだけだった。
「あ、あれ……? もしかして僕、壊してしまいました?」
 冷や汗をかきながら何度もスイッチを押していく。しかし、それでもお掃除ロボが起動
する気配がなく――
「あ〜えっと、博士……?」
 恐る恐る朋子へと振り向き謝罪をしようとした瞬間、
 ――――ドンッ! という大きな音と共に激しい閃光に巻き込まれながらお掃除ロボは爆発をした。

「……けほっ、な、何が起きたんですか……?」
 辺りを見渡しながら状況の把握に努める春樹。自分の身に何が起きたのか、そしてどう
して辺り一面がこんなにも煙だらけなのかを知るために。
「かはっ、ごほっ……まったく、春樹め。あたしが作った最高傑作をいきなり壊してくれ
るとはやってくれるな……」
 徐々に煙が晴れてきて周りの状況が少しづつ分かってきたところで、やや怒りの感情の
篭った声で朋子が春樹を批難する。


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