活き作りにされた日-7
強田はしばらくわたしの顔を見つめて言った。
「そりゃ、たぶんおまえがかわいくってかわいくってたまらないからじゃねえか? ほら、よく言うじゃねえか。かわいさ余って憎さ百倍ってな」
馬鹿にした答えだと思った。わたしがそれで納得するとでも思っているのだろうか。
「さて、また泣いてもらおうか」
強田がまた何かを持ってきた。
注射器だった。液体がいっぱい詰まった太いガラス管が目に入ったとたん、わたしのからだから血の気が引いていくのがわかった。「いやいやいや、だめよ。おしっこだけよ。おしっこだけって言ってたじゃないの!」
わたしは涙声で哀願した。
「だめだめ、いや、いや、いや!」
ロープで縛り上げられたからだを震わせて、わたしは泣き叫んだ。
「おっと、うるさいなあ。これじゃあ近所迷惑だ」
強田はふたたびわたしの口にきつくさるぐつわを噛ましてしまった。
「ぐっぐっぐ‥‥」
わたしの悲鳴は声にならなかった。
「せっかくここまで縛り上げたんだ。浣腸もしないともったいないもんな」
鏡のなかで強田がわたしの下腹部にかがみ込んだと思ったら、お尻の穴に注射器の先端がぐいぐい押し込まれる感覚があった。
「うっ‥‥」
鏡のなかのわたしの姿が涙ににじんだ。
「ぐっ、ううううう‥‥」
冷たい液体がわたしの直腸に注入された。容赦のない激しさだった。
お尻の穴が思わずキュッと締まった。酸で染みたようにお尻の穴の内側が痛かった。
「ううう‥‥」
注射器の中の液体が一気に注入されてしまっていた。黒崎から浣腸されたとき、注射器の容量は千?だと聞かされたことがある。
わたしは気が遠くなりそうだった。
下腹部が冷たくなった。
冷汗がにじんできた。
放出するところを強田に見られたくなかった。
だんだん重苦しい感じがお尻の穴近くまで下りて来た。
どうしても放出したくなくて、わたしは頭を振りながら激しい便意をこらえていた。
下半身が痙攣した。冷汗がわたしの全身にじっとり染み出していた。
シュルシュルシュル‥‥‥
聞きたくない音がわたしの恥ずかしい部分から聞こえてきた。
絞りきったお尻の穴から一筋の液体が噴き出していた。
とうとうこらえきれなかった。
うちひしがれたわたしのからだから、なま暖かい液体が一気に吹き出した。
シャー‥‥‥
鏡の中の自分を見たくなくて、わたしは目を堅く閉じた。
「やった! やった! なんだ、見ないのか?」
強田はわたしの目を無理に開こうとした。 なんて悪趣味なやつなんだろう。
鏡のなかで、恥辱にうち負かされたわたしの恥ずかしい部分から液体がとめどもなくあふれていた。わたしの心から血が流れているような気がした。
内臓をあばかれた実験動物になったような気がした。
「あんまり固形物がねえな」
強田が言った。
そのはずだった。昨日黒崎が、「今晩は夜通し責めて寝かさないからな」と言ったときからわたしは食欲がなくなって、ほとんど何も食べられなかったのだから。
便意を我慢しきれなかった敗北感にうちひしがれたわたしを、哀れむような目つきで強田が見下ろしていた。
「ちょっと、臭うな」
信じられないことに、強田はわたしの排泄物を流そうとしなかった。それをわたしに見せつけることで、わたしをさらなる羞恥に陥れたかったのだろうか。
強田は臭うと言ったが、わたしが排泄したのは注入された液体がほとんどで、便はほとんど混ざっていないようだった。