ミスター・イケメン-4
私の十和君への気持ちは周囲にはバレバレ。下手したら本人も気付いてるかも…?
日に日にクラスの友達が減っていく。一部の怖い女子が省き運動を企んでるみたい。確かお兄ちゃんは聖先輩のために変わろうとして、元の仲間から省かれたんだよね。
でも、私の場合は違う。完璧にクラスは動かされている。他のクラスの友達しかいなくなっちゃった。
十和君は私のこと、クラスでたった一人話せる人程度にしか思ってないのかな。孤立すればする程彼が好きになっていく。
今は言わないでおこうかな。下手して十和君と話が出来なくなるよりは絶対いい。逃げ腰みたいだけど、十和君もかえっていいかもしれない。
だけど、やっぱり好き。お兄ちゃんが聖先輩をとても好きなのと同じく。
とんでもなく信じられない事実が発覚してしまった。しかも、兄という馬鹿な男のせいで!
「本っ当ごめん!」
「何よ!そしたら十和君も知ってるんでしょ?何てことするのよぉ!だから聖先輩に毒舌ばっかくらうのよ!」
兄という馬鹿は彼女である十和君の姉に私の気持ちを言ったんだって!姉なら弟に話すに決まってる。十和君私の気持ちわかっちゃったよ絶対。
「この頃十和君様子おかしいのよ!何だかちょっとそっけないの!」
「多分照れてるだけだろ。知ってるとすれば。」
「この馬鹿兄!妹として恥ずかしいわ!」
「いでで!すいません!金たまったんでおごるから許してください!(泣)」
明日十和君に会うのがすごく憂鬱になってきちゃうよ。なんだかピリオドうたれちゃったのも同然。
もう席替えしたから十和君とは席が離れてしまった。めっきり話す機会もなくて、ただクラスの中のヒソヒソした会話が絶えない。
私嫌われたかな。やっぱ迷惑だよね。私なんかに好きになられても。
もしかして、思い切って彼に告白してみるのがいいのかな?何だか、私もう辛くていらんないかも。
そんなある日、塾の帰り道。神様は悪戯にあの人と合わせてしまったのだった。
「十和君…。」
「偶然だね杉田さん。」
私は私服である一方、十和君はまだ制服を着ていた。
「時間あればでいいんだけど、俺にとって大事な話があるんだ。」
「あ、いいよ。じゃ、そこに喫茶店あるから。」
つい流されて許してしまった。
半分わかっている。私の気持ちのことだと思う。
怖いよ。でも、久々に一緒にいれる嬉しさが心にあるから足が回れ右してくれない。
寒さに震えた体は、珈琲で温かみを帯びて手の動きが正常に戻る。
先に言われるのも怖くてこっちから切り出すことにした。それは一瞬よぎった考え。
「聖先輩から聞いてるよね。私が十和君のこと好きだって。」
「何?」
「そのことについて話がしたかったんだよね?わかってるよ、結果はNOだってことくらい。でもなかなか諦めきれないよ。」
「ちょっと待て。それは…。」
「私は十和君が好き!絶対諦めないんだから。クラスで省かれたって私には王子様がいるもの。入学した時から好きなのに…。」
涙が溢れそうになった時、十和君は手を強めに握ってきた。真剣で真っすぐな視線を向けて、目をそらすなど許されないような。