初体験1-4
その日は、裕美とのHはありませんでした。
「用がある」だって。
昔から今に至るまでずっと一緒。男の人と会う時はいつも「用がある」が裕美の言い方でした(笑)。
翌日になりました。
裕美は、詳しくは言わなかったけれど、絶対にY先生と私のHの日です。
私の「処女膜喪失記念日」です。
前日の夜は、なかなか眠れませんでした。
不安?
期待?
高校入学試験の前日のような気分でした。
早く寝なきゃ、という焦りがなおさら眠気を遠のけちゃって、考えるのは結局Hな事ばかり。
だって、眠れない理由が男の人との初Hなんだから、当たり前!
当然、オナニーしちゃいました。
三回・・・(笑)。
でも、最後にはB型得意の「なるようになるさ!」って、納得して、そうしたらオナニーの疲れもあって、すぐに眠れました。
「おとなしいカッコ」という、裕美からの注文に少し悩んだけれど、当時の私のファッションは裕美ほど過激じゃなかったので、結局お気に入りのジーンズに、少し意識してストライプのシャツにジャケットを着ました。
ジャケットを着ると、少し大人になった気分になります。
時間通りに赤坂に着いて、指定された出口から地上に出ると、裕美はもう来ていました。
「こんにちは〜!」いつもの明るくてとても可愛い裕美がいました。
その笑顔に、私の緊張感も少しほぐれました。
それにしても、「おとなしいカッコ」って私には言ったくせに、裕美のカッコはちっとも「おとなしく」なかった。
ライトグリーンでミニのキャミワンピ。
キャバ嬢じゃないっつうの!(笑)
裕美は、手書きの地図を引っ張りだして、「こっち、こっち」って私を連れて歩き出しました。
「オフィス街」って感じで、休みの日に来る所じゃない、って思いました。
仕事の街だから、休日だから、都会の中心部なのに人が少なかった。
「こっちかな?!」なんて独り言を言いながら地図を見て、裕美はどんどん、ひと気の少ない方向に歩いて行きます。
初めての場所だし、もともと方向音痴の私は、今いったいどの辺にいるのかさっぱり分からなくなってた。
不安になって、「ねえ、裕美! どこに行くの?!」って言ったら、「あっ、ここだ!」って、少し古めの八階建てくらいのビルの前で立ち止まりました。
どう見ても、オフィスビルです。