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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『SWING UP!!』第10話-17

「まさか、こういう形で再会することになるとはな」
「Yes,キャプテンさんも、変わりなく、なによりでございます」
 それぞれのチームがウォームアップに励む中、バックネット付近で会話を交わすのは、双葉大学の監督・長見エレナと、城南第二大学の監督・佐倉直樹であった。
「俺も今年からチームを率いることになったんで、まだ不慣れなところはあるが、遠慮なく胸を貸してくれ」
「それは、こちらのセリフでございますよ」
 城南第二大学の監督・佐倉直樹の言うように、彼は昨年まで、同大学の教授である細君・玲子の助手として異国にいた。今年は夫妻ともども帰国し、玲子も大学の研究室に復帰することになったので、それを受ける形で彼は、OBでもある軟式野球部の監督の座を引き継いだのである。
 ちなみに、エレナも城南第二大学のOGなので、二人は元・チームメイトということになる。そして、城南第二大学が達成した“伝説の三連覇”の、最初の優勝を果たしたチームのキャプテンが彼だった。その時は、苗字が“高杉”であり、学者畑の佐倉家に婿養子として迎えられたため、今はその姓も“佐倉”に変わっていた。
 だから、両者が顔をあわせるこの開幕試合は、期せずして、因縁の対決になったのである。
 ウォームアップが終わり、いよいよ試合開始である。それに先駆けて、双葉大学軟式野球部のメンバーたちは、監督のエレナを中心に円陣を組み、気持ちを盛り上げていた。
「さあ、みなさん! 今年は、Stadiumで、たっぷり野球ができます! みなさんのSpiritsを、思うぞんぶん、ぶつけてきてください!」
「「「Sir!」」」
「OK! Let’s enjoy!!」
「「「Yes,sir!!」」」
「整列!」
 円陣が解けるのと同時に、審判の呼び出しがかかった。
 その声を受けて、メンバーたちは駆け足で、整列をする。整然としたその動きは、2部リーグの激闘を乗り越えて、チームとしてのまとまりが強まった証である。
 相対する、城南第二大学のメンバーたち。さすがは1部リーグに所属するだけあって、整列をする動きにも精錬されたものがあり、また、大いに場慣れしているという雰囲気があった。
「礼!」
 主審の声に従い、まるで図ったように同じタイミングで、わずかなズレもなく二つの列が、内側に綺麗に傾いた。
 各チームのスターティングオーダーは、下記のとおりである。

 【双葉大学 対 城南第二大学】
 先攻・双葉大学
 1番:岡 崎(遊撃手・4年)
 2番:栄 村(右翼手・4年)
 3番:屋久杉(一塁手・4年)
 4番:蓬 莱(捕 手・2年)
 5番:草 薙(投 手・2年)
 6番:吉 川(三塁手・3年)
 7番: 浦 (左翼手・3年)
 8番:片 瀬(二塁手・1年)
 9番:木 戸(中堅手・1年)

 後攻・城南第二大学
 1番:速 水(中堅手・4年)
 2番:永 作(二塁手・3年)
 3番:鶴 見(三塁手・4年)
 4番:後藤田(捕 手・4年)
 5番:木 下(遊撃手・2年)
 6番:寺 脇(右翼手・3年)
 7番:二 村(一塁手・2年)
 8番:西 島(左翼手・3年)
 9番:志 村(投 手・2年)


「ふーん。エースが、先発じゃないんだ」
 中堅の守備につく速水は、位置的に電光掲示板を真正面に見ることが出来る。
「パンフレットには、“草薙大和”ってのが注目人物ってあったけど、5番なんじゃん」
 彼が双葉大学軟式野球部について得ている情報は、年に二回の超季刊刊行物『“隼リーグ”特集号』だけであったから、相手チームの主戦投手が、左腕の屋久杉雄太であるという認識があった。
「一年も二人、いきなりスタメンに入っているみたいだし……やっぱり、あんまり大したことないのかな?」
 双葉大学の総合評価は、6チームの中で最も低かった。速水の思考は、それを受けての事と言える。
「まあ、お手並み拝見と行きますかね」
 主審の“プレイボール・コール”を受けて、速水は軽い気持ちのまま、改めて守備位置についた。

 キィン!

「えっ?」
 矢先、威勢のいい音が響いたかと思うと、ホームベースから白い弾道が一気に延びて、眼前で浮き上がるような軌跡を描く。
「えっ、えっ?」
 慌てて打球を追いかけようとしたが、失速する気配のなかったそれは、弾丸ライナーでそのままバックスクリーンに飛び込んで、大きく跳ね上がった。
「はぁっ!?」
 岡崎の、初球先頭打者本塁打が飛び出したのである。


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