姉弟ゲンカ-3
「……雅……」
「分かった、分かった、分かった、分かった、分かっ……」
ちょうど10回目になる瞬間、両手を掴まれた。力の入れ具合で本気で怒っているのを理解したが、既に遅かったらしい。
「下らない事をするんじゃない!」
「痛い痛い痛い、ギブ。ギブだギブ、まりな!まりなってば!」
曲がらない方向へ無理矢理曲げられ、激しい痛みが襲い掛かってくる。
こちらが痛いと告げているのになかなか止めてくれず、感覚が無くなってきた頃にようやく解放された。
「いい加減にしてよ。疲れてるんだから寝かせて」
「も、もう、冗談だろ。まりなってばすぐむきになるんだから」
苦笑いしていたが、正直言うと結構へこんでいる。
今まで本気で怒った事はそんなに無かったのだが、もしそうなったら両親よりも恐ろしいのは思い知っている。
「はあ……」
目の前にこんな美味しそうなカラダが横たわっているというのに、まったく手出し出来ないのは歯痒い。
ああ、分かった。男はまりなの見た目と雰囲気で騙されるが、中身はこの通り気が強いので、今まで彼氏が出来ても長続きしなかったんだな。
「やってくれるじゃねえか、まりな」
血の繋がりとは恐ろしい。これがもしただの他人であれば、潔く身を退いていただろう。
だが、血を分けた人間だからこそ何かあったらもう後に退けなくなるのだ。
端から見れば俺は単なる馬鹿にしか見えないに決まっている。
「俺に勝てるとでも思ってんのか、まりな」
両手を縛り上げてやろうとしたが、さすがに大人気ないのでやめた。そこまでしたら姉弟喧嘩の域を越えてしまう。
そもそも力でのやり取りをしたい訳では無くて、ちょっとした悪戯のつもりだった。おっぱいを揉むのがダメならば、他の場所を探ればいいのだ。
すやすや眠っているであろうまりなのパジャマに手をかけ、一気に下を脱がせた。
「おっ、おい」
思わず声を出してしまったが、仕方ないのだ。年相応というか、いわゆる大人の下着を着けていたからである。
昔はあんなに安っぽいパンツしかはいてなかったくせに……知らない間に色々あったんだな。
ガキみたいな顔立ちのくせして、こんなモノに育ちすぎたカラダを包んでるなんて……別にそんなつもりは無かったのだが、生理現象というべきか、股間に熱が集まり始めた。
しっかりしてくれ、ただでさえ姉に小遣いを集ってる身の上なのに、おまけに欲情してしまうなんて、情けないどころの話じゃなくなってしまう。
「いい加減にしなさい、雅!」
タイミングの悪い事に憤慨したまりなが起きてしまった。
反応している下半身を隠す暇さえ無かったので、実の姉に醜い部分を見られてしまったのである。
「…………う、ウソ……」
「みっ、見るなよ!違うんだってば!」
いいや、きっとまりなだって分かっているはずだ。
気持ちに関係なく、性的なものを目の当たりにしたら反応してしまう事くらい……まったく経験が無いのなら仕方ないが、もういい大人なんだし、ちゃんと分かってくれるよな。