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溺れる爪痕
【ファンタジー 官能小説】

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接触-3

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目を覚ました時、一番最初にその視界に飛び込んできたものにシウは声にならない悲鳴を上げた。

息が掛かるほど間近に、知らない顔が自分をじっと眺めていたのである。

「な、なんだ、お前、・・・誰だよ・・・?」

「俺?俺はアズールの友達」

「どうして・・・」

「どうしてって?ああ、鍵のこと?そんなもの俺には無意味だから」

「部屋・・・・?あ・・、・・・・・アズール、は?」

「さあ、仕事じゃないかな。そんなことよりさ、せっかく起きたんだしお茶でも飲みながら話さない?」

にこにこと屈託のない笑顔を向けてくる長躯の男は痩身というよりたおやかで、どこか女性的な匂いがする。

自分のそれと似て非なる銀の髪にシウは思わず目を反らした。

「・・・・・あんた、サキュバスだろ?・・・純血の」

「あれ、よく分かったね。この姿になってからは同族でもなかなか気付かれないのに」

「この姿?」

「男に成ったんだよ。最高の魔術師に為るべく、最高の先生の手によって・・・ね」

ベッド脇の床を舞うように踏み均し、くるりと回った男はシウへと手を伸ばす。

どうやってここに戻ってきたのか覚えていないシウにそれ以前の記憶は鮮明過ぎて、見ず知らずのこの男への警戒心が和らぐことはない。

「そんなに警戒しないで。俺は君のことが知りたいだけなんだ」

「・・・・なぜ?あんたも魔術師なんだろ?」

「そうだよ?力でいえば俺は君のご主人様よりも遥かに強い」

「・・・そんな人が、・・・あたしを知りたいとか、・話したいとか・・可笑しいじゃない」

「うーん、確かにそうなんだけどね。興味があるんだよ。あのアズールが執心する君がどんな子なのか」


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