接触-10
どうしようもない虚しさはいつものことだ。
取り残されたアズールはせせら笑う。
捕らえられているのはどっちだと、自身に当てた卑下た笑み噛み殺す。
分かっている。
自分の愚かさや無力さは、身を抉るほど、この胸の内いっぱいに満たしている。
しかし、変わることは出来ない。
自分もまた、この国に飼われ生かされている存在でしかないのだから。
最高級の力を持つ彼の核には常に自責と負の感情が巣食っていた。
他人が付け入る隙もないほど、彼の中の影は満ちていた。