『SWING UP!!』第9話-22
以来、予備校では自然と行動を共にするようになり、軟式と硬式の違いこそあれ、同じ野球部であるということもあって、すっかり意気投合した。お互い、東京ガイアンズのファンであったということも、その一助になっていた、
もちろん、結花はその時は、草薙大和という憧れの存在が胸の中にいたから、航に対しては“気のおけない仲間”という感覚で接してきた。
昨日、双葉大学の入学式直前に、正門付近で航と出くわしたときも、“また同じ仲間と過ごせる!”と、そのことを喜ぶ思いが強かった。
それが今、変わろうとしている。
「……わたし、サイテーかも」
昨日の今日だというのに、たったの一日で、相手を見る気持ちをこんなに変えてしまうのかと、結花は、自分の節操のなさを少しだけ嫌悪した。
「………」
だが、高鳴る動悸が止まらない。昨日、その背中に取り縋って、泣いてしまったときのことが鮮明に思い出されてしまう。
『片瀬と、野球がしたかったんだ』
あの一言を、どうしても、心の中で響かせてしまうのだ。
「くっ……」
響きはそのまま、身体の奥を刺激してきた。太股の内側が熱くなってきて、甘い痺れを伴って、結花の中に広がっていく。
「……んっ」
指が、伸びていた。熱く甘い痺れが生まれた太股の内側に、右手を潜らせたのだ。
そこから始まる行為を、どうしても止められなかった。
「んっ……くっ……んんっ……」
右手がもぞもぞと蠢く。その動きに合わせて、甘い痺れが体中に振り撒かれ、喉の奥からこみ上げる声を抑えられない。
(また……こんなことして……)
昨晩はエアロバイクを使って行った“自慰(オナニー)”を、今晩もベッドの上でしてしまっている。さすがに、部屋の隅にあるエアロバイクを使おうとは思わないが、自ら蠢かす指の動きを止めようなどとも考えていない。
(こんな、こと、して……)
くにゅ、くにゅ、くにゅ…
「ん……んんっ……くふっ……んぅっ……」
パジャマ代わりに穿いているスパッツ越しに、熱くなっている秘裂を指で上下になぶりたてる。ショーツの布地が指の動きに合わせて、湿り気を帯びたその部分を擦りたて、結花は“自慰(オナニー)”の気持ちよさに夢中になっていった。
上下になぞる動きに、回転と強弱を加えて、くにくにと指を動かす。
「だめ……指じゃ、ものたんない……」
昂ぶっているものを消化するには、もっと強い刺激が必要だと思った。
「………」
結花は、ベッドの脇に置いてあった木製の“ツボ押し用マッサージ棒”を手に取った。からだのツボを刺激するべく設計されたそれは、先端が丸くなっており、中央部にも三つの球体による凹凸があって、結花にとっては格好の刺激を生んでくれる“相棒”にもなっていた。両親もそれを見て、まさか“自慰(オナニー)”に使っているとは思わないだろうから、堂々と部屋に置いておくことも出来る。
「ん、あっ……!」
まずは、その先端を股間に押し付けた。指とは違う固くて丸い感触が、溝の部分を広範囲に刺激して、より強烈な甘い痺れを生み出してくれた。