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狐もふもふ
【ラブコメ 官能小説】

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出会い〜そして〜-4

「油揚げが嫌いではないのなら、早速料理を食べるといいじゃろ」
 ぐぐいっと、料理を掴んだ箸を僕の目の前に持ってくるコンさん。
「ほれ、あーんじゃ」
「う、うぐ……」
 さすがに『あーん』で食べさせてもらうのは、ちょっと恥ずかしいんだけど。
「ほれ、何をしておる。早く口を開けんか」
 そんな僕の気持ちなんかお構いなしに、箸を突きつけてくるコンさん。はぁ……ここは
もう大人しく食べさせてもらうしかないみたいだね。
「……あ、あーん」
「あーんじゃ」
 ぱくりと、コンさんが作った料理を食べる。
「どうじゃ? なかなかに美味しいじゃろ?」
「ええ。本当に美味しいですねコレ」
 お世辞じゃなく、本当にコンさんが作った料理は美味しかった。油揚げがやや多めだが、
この美味しさなら平気で全部食べられそうだ。
「だから言ったじゃろ。私は料理に自信があると。これで少しは私のことを信用してくれ
たらいいのじゃが……」
「そう、ですね。こんなにも美味しい物を作られたら、文句を言うことも出来ませんね」
 この料理や態度を見る限り、本当に僕に助けてもらった恩を返したいみたいだしね。
 このまま、コンさんにお世話をしてもらうのも悪くはないよね。
 だって、こんなにも美味しい料理を食べさせてもらえるんだ。それだけで充分、迎え入
れるだけの理由のはなるよ。
 ほんと、ここ最近まともな料理なんて食べてなかったしね。基本、コンビにの弁当やス
ーパーの惣菜ばかりだったから。やっぱり温かみのあるご飯を食べれるのは幸せだね。
「うむ。それでは、私もご飯をいただくとするかの」
 コンさんは律儀に両手を合わせ『いただきます』と一言発し、自身が作った料理に箸を伸ばした。
「……ん、自分で言うのも変な話じゃが、実に美味しい出来じゃな」
 パクパクと自身の料理を美味しそうに食べるコンさん。おっと、僕もコンさんの食べて
いる姿に見惚れている場合じゃないよね。せっかく作ってくれたご飯なんだから、たくさ
ん食べないとね。
 僕は、コンさんに負けじと料理に箸を伸ばしてご飯を食べた。
「――ふぅ。もう、お腹いっぱいだよ……」
「実にいい食べっぷりじゃったな。あんなに豪快に食べられると、作った方としても嬉し
い限りじゃな」
「そんな。コンさんの料理が美味しかったから、あんなに食べられたんですよ」
「はは、そう言ってもらえるだけで充分じゃ」
 別にそこまで謙遜しなくてもいいのに、コンさんは大したことないと言う。料理を作れ
るってだけで、それは充分凄いことなのに。
「あまり褒められるのは照れくさいからの。それに年上である私が年下のお主に、色々と
褒められるのはやはり……の」
 やっぱり恥ずかしいのかな? てか、コンさんって僕よりも年上なんだ……全然意識し
ていなかったけど、よくよく見ると――
「これ、あまり女性をジロジロと見るのもではないぞ。男としての器が知れるぞ」
「す、すいません!」
 つい反射的に謝ってしまう。なんていうか、コンさんからはお姉さんオーラというか、
お母さんオーラみたいなのが出ているから、逆らいにくいんだよね。
「理解出来れば、それでよい。それよりも……ふむ。少し汗をかいたの」
「だったら、お風呂に入ったらどうです?」
「風呂……か。そうだな、お主がいいと言うのなら風呂をいただこう」
 そう言ってコンさんは立ち上がると、徐に僕の服を掴んだ。
「え……コンさん?」
「何をしておる。お前さんも一緒に風呂に入るのだぞ」
「――はぃ?」
「なんじゃ、また聞いておらぬのか? 私と一緒に風呂に入るぞと言ったのじゃ」
 コンさんから告げられる風呂への誘い。ぼ、僕とコンさんが一緒にお風呂に入るだって!?
 そ、そんなの無理だよ! だって、コンさんは元は狐だといっても、今は人の姿をして
いるわけだし、お、女の人と一緒にお風呂に入るだなんて難易度の高いこと出来ないって!
「む、むむ、無理だよコンさん!」
「何が無理なのじゃ? まさかお主風呂が嫌いなのか? 風呂嫌いはいかんぞ。きちんと
風呂に入って、身体を清潔に保っておかねば病気になりかねないぞ」
 ズルズルと僕を引っ張りながら、お風呂場へ移動しようとするコンさん。
「や、だから! 僕はお風呂は嫌いじゃないですって」
 むしろお風呂に入るのは好きな方だ。
「ならばよいじゃないか。何をそこまで拒む」
「それは……コンさんが……」
「私が何なのじゃ?」
「あ、いや……その、ですね……」
 一緒にお風呂に入りたくない理由を言わないといけないんだけど、凄く言いたくない。
 言えば、絶対に変な目で見られるから。絶対にからかわれるから。
「特に理由がないのなら、無理にでも一緒に入ってもらうぞ」
「ちょっ、何でそこまで一緒に入ろうとするんですか!?」
 一人で完璧に料理を作れるくらいだから、お風呂の入り方が分からないということはないはずだ。
 だったら別に一人で入っても――
「……? 一緒に入るのに理由がいるのかの?」


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