投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

狐もふもふ
【ラブコメ 官能小説】

狐もふもふの最初へ 狐もふもふ 12 狐もふもふ 14 狐もふもふの最後へ

出会い〜そして〜-13

「あ、僕が洗いますよ」
 ご飯を作ってもらったんだから、食器を洗うくらいは僕がした方がいいだろう。
「その必要はない。食器を洗うまでが料理じゃからの」
 僕の申し出を断り再び台所に立つコンさん。ゆらゆらと尻尾を揺らしながら食器を洗っていく。
 相変わらず鼻歌も歌っているし、実に楽しそうだ。
 何もすることがなく手持ち無沙汰な僕は暇なので、楽しそうに食器を洗っているコンさ
んを眺めることにした。
「……なんじゃ? 食器を洗うところを見ても何も面白くはないじゃろ」
「いえ、そうでもないですよ?」
 コンさんの鼻歌を聴いているのも楽しいし、ゆらゆらと揺れる尻尾を見ているだけで充
分暇潰しになる。
「お主がそれでいいと言うのなら深くは言わぬが……」
 コンさんにはこの楽しさが理解出来なかったらしく首を傾げながら再び食器を洗い始める。
 まぁ、僕の立場でコンさんという人を見ているから楽しいのであって、コンさんからす
れば意味は分からないだろう。だって、コンさんがコンさんを観察するなんて出来ないのだから。
「よし。これで終わりじゃな」
 食器を洗い終わったコンさんがこちらにやってくる。
「お疲れ様です」
 労いの言葉をかけ、お茶の入ったコップを渡す。
「すまぬな。ん……美味しいな」
 お茶で喉を潤し、僕の横に座るコンさん。
「えっと、何で僕の横に……?」
 わざわざ僕の横に座らなくても他にも座るところはいくらでもある。広い部屋ではない
けど、僕の横に座らないといけないくらい狭いわけでもない。
「お主の横に座ってはいけないぬか?」
「そんなことはないですけど……」
 やっぱり、コンさんが横にいるとドキドキするんだよね。変に色々と意識してしまって
疲れてしまう。
「顔を赤くしてどうかしたのかの?」
「……分かってるんでしょ?」
 ニヤニヤと笑みを浮かべているんだ。何も分かっていないわけがない。
「ある程度の予想はついておるかの」
「だったら、違う場所に座ってもらえませんか?」
「それは断る」
「な――っ!?」
「あのな。お主が女性にあまり免疫がないのは分かっておるが、それでは色々と困ってし
まうじゃろ。と、いうか現在進行形で私が困っておる」
「こ、コンさんが!?」
 一体、何を困っているというのだろうか? どう見ても楽しんでいるようにしか見えないんだけど。
「あぁ、困っておる。凄く困っておるぞ」
 芝居がかった口調で困っていることをアピールしてくる。すでに分かりきっていること
だけど、このままコンさんの言っていることをスルーするなんて出来ないんだろうね。
「はぁ。何がどう困っているんですか?」
 半ば諦め口調でコンさんに困っていることの内容を聞く。一応、僕が女性にあまり免疫
がないことに絡んでいるみたいだけど……
「お主が女性に免疫がないと私の目的が果たせないではないか」
「コンさんの目的……?」
 コンさんの目的は僕に助けてもらったお礼をするだけでしょ? それだけなら別にあま
り免疫がなくても問題はないと思う。
 それにコンさんは僕に免疫がないと言うけど、昨日は一緒にお風呂に入ったり、寝たり
したんだよ。だから言うほど免疫がないってわけじゃ……
「お主に助けてもらった礼をする。確かにそれもあるが、私としてはお主と……」
「僕と……?」
「いや、なんでもない。とにかくお主は女に慣れる必要があるのじゃ!」
 大きな声を出したかと思うと、勢いよく僕に飛び乗ってくるコンさん。人間大の大きさ
のコンさんが飛び乗ってきたわけだから、当然支えることは出来ずにその場に倒れてしま
うわけで――
「あ、危ないじゃないですか!」
 テーブルとかの角にぶつかったら怪我をしてしまうじゃないですか。
「そんな些細なことはどうでもいいのじゃ。そんなことよりも、エッチをするぞ」
「…………はぃ?」
「だから、お前さんとエッチをすると言ったのじゃ! 何度も同じことを言わせるでない」
 何故だか怒られてしまった。で、でも……コンさんとエッチをするとか言われても僕は……
「女に慣れさせるにはエッチをするのが一番なんじゃ。お主もそれくらいは理解出来るじゃろ?」
「ま、まぁ……」
 確かにエッチをすれば女性というものに慣れるかもしれないけど、だからといってコン
さんとエッチをするというのは……
「なんじゃ、お前さんは私とエッチをしたくないと言うのか?」
「そういうわけではなくて――」
 僕だってコンさんとエッチが出来るのは嬉しいと言えば嬉しいよ。でも、こんな理由で
エッチをするというのは僕個人の勝手な我儘だけど、嫌だ!
「ど、どうしてコンさんは僕に女性に慣れされることに拘るんですか?」
 何か拘らないといけない理由でもあるんですか?
「…………じゃ」
「え……?」
「じゃから、私はお主のことが好きだからじゃ。好きな人とエッチをしたいと思うのはお
かしなことなのか?」


狐もふもふの最初へ 狐もふもふ 12 狐もふもふ 14 狐もふもふの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前