花ノ章-2
さっきから蘇芳の顔を見る度、自分の知っている彼とは違う印象を受ける。
例えれば、普段が静とするならば今は動そのもの。
自分は、そんな彼も嫌いではないようだが。
人差し指と親指で乳首を挟んで扱いたり、摘んだり、かと思えば手の平全体で乳房を揉み上げたり、蘇芳によって紫苑の体に間断なく快感が与えられる。
「あぁぁ…」
彼女の声にもだんだんと快楽の色が混じってきた。
その嬌声に酔いしれながら、蘇芳はゆっくりと乳首に口付けた。
口腔全体でそこを含み、舌先でころころと転がす。両手は乳房を愛撫し続けたままだ。
五指をそれぞればらばらに動かし、柔らかい彼女の胸の感触を存分に愉しむ。
快楽によって紫苑の体全体が火照り、白い肌が徐々に淡い桃色に染まりつつある。
蘇芳は緩やかな所作で紫苑の体を押し倒した。
快感の波を漂っている紫苑の体は、蘇芳が少し力を加えるだけで、重力に従うままに蒲団の上へと沈み込んでゆく。
上半身だけはだけたままの紫苑の、身に着けている襦袢の帯をゆっくりと解いて、下半身も露出させると、太腿の間からはすでにうっすらと愛液が溢れている。
「いやっ…!」
自らの痴態を目の当たりにして、思わず紫苑は否定の声を上げた。
少し触られただけでこんなに感じてしまっていて、何だか恥ずかしかったのだ。
紫苑は初めて蘇芳と出会った時から、ずっと彼に恋慕の情を抱いていた。
貞淑な女を装っていても、夜だけは自分の欲望を剥き出しにして、彼のことを思いながら慰めた経験も数え切れぬほどある。
それほど求めていた本人に触られているという事実だけでも、彼女の心理にはかなりの効果をもたらしていた。
「恥ずかしがらなくてもいいんですよ…私も紫苑さんの姿を見ているだけで欲情してしまっているんですから」
自分の物も既に頭を擡げ始めているだろう。多少、袴に窮屈感はあった。
「蘇芳さんが…?」
驚いたような声を紫苑が上げる。
「愛しい女性の乱れた姿を見て、何も感じない男なんていません」
程よい肉付きの彼女の太腿を撫で擦りながら、彼はそう答える。
嬉しさのあまり、紫苑は蘇芳の胸に顔を寄せる。
蘇芳の心臓の鼓動が高らかに響く。その旋律が紫苑の耳に快かった。
「紫苑さんに、もっと…触れても良いですか?」
蘇芳はそんな紫苑を抱き締めて、彼女の華奢さを改めて思い知らされる。
「はい…」
胸の中の彼女は、はにかみながらそう答えた。
太腿から指を這わせてゆき、付け根のところまで達した。
そのままその間に手を差し込むと、彼の指は柔らかい恥毛を捕える。
さらにそれを掻き分けて指を潜り込ませ、陰裂の上を指でなぞる。
ぞくり、と紫苑の背筋を快感が走った。
「きゃ…ッ!」
蘇芳の指先が熱い泥濘に包まれた。
ぬるぬるとしたそこに指を動かす。
それに合わせて紫苑は高い声を上げる。
「あっ、あっ、あっ…」
もじもじと太腿を擦り合わせて快感から逃れようとする彼女の両足を掴んで、左右に足を広げると、濡れた花園が現れた。
「綺麗です…とても」
蘇芳は慈しむような声色で感嘆の声を漏らす。
紫苑の秘部は果汁をふんだんに含んだ瑞々しい果実を思わせた。
蜜を滴らせて、彼を甘く誘う。
割れ目の上部の、存在を主張している突起に触れる。
蘇芳は、包皮の上から肉芽を親指と人差し指で摘んで扱きあげる。
「あぁぁ…!」
紫苑は蒲団の端をきつく掴み、身を捩りながら、迫る快感に抗っているようにも見える。
指先で包皮を摘み上げると、紅い真珠のような粒が顔を出した。
包皮を持ち上げたままその粒に愛液を軽く塗りこむと、紫苑の体が一際大きく戦慄く。
あまり刺激に慣れていない敏感な部分を直接弄られ、脳内まで侵されてしまいそうな麻薬の如き快楽を叩き込まれた程の衝撃を紫苑は感じた気がした。その嬌声はもはや悲鳴に近い。
「あぁぁぁっ、もう、いやっ、そこは…!」
そんな声を発しながらも、彼女が感じているのはわかっていた。
彼が触れる度、まるで滾々と湧き出る泉のように、じくじくと新たな愛液が滲み出てくるのだから。
陰核全体を指先で捏ね回しながら、もう片方の手で蜜口の周辺を刺激する。
「…紫苑さん、初めてなんですね」
「処女は…嫌ですか?」
息を荒くした紫苑は、涙が滲んだ瞳で蘇芳を見上げる。
行為に慣れていない自分は、彼には不満かもしれないと思うと、不安を隠しきれずに問い掛ける。
そんな彼女を、蘇芳は愛しく感じて、上気した頬に優しく手を添える。