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先生と身体の関係を持ったのは、単純に祐介さんへの当てつけが目的ではなかった。初めて会ったときから、この人はわたしを強烈に惹きつけた。和成先生への気持ちは、祐介さんを本気で愛する気持ちとは限りなく遠い場所にある感情だった。二人には、心の全く違う部分が惹かれている。
 うちの大学に来るのも、運命だったのかもしれない。彼がうちでの初めての授業を終えた時、わたしは彼に声をかけた。半年前、初めて顔を合わせて、お互い軽く挨拶を交わしただけなのに、彼はわたしの顔を覚えていてくれた。半年間忘れられず、恋い焦がれた人に顔を覚えていてもらえた。死んでしまってもいいと思えるくらい、うれしかった。
 それから毎日、彼の研究室に通って勉強した。本を紹介してもらったり、レポートのアドバイスをもらったり、たわいない話をしたりした。学生時代の祐介さんの話も聞いた。二人は仲がよかった。
 初めて和成先生とセックスしたのも、校内にある彼の研究室だった。行為のあと、
「僕がこのこと、高岡さんにばらしたら、凜ちゃん、どうするの?」
と訊かれ、心臓が止まりそうになった。あの学会の後、会場の外の物陰で、わたしと祐介さんがキスをするのを見ていて、関係に気づいたらしい。でも彼は告げ口しなかったし、今もしていない。祐介さんは何も知らない。 


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