発芽-4
ダブルベッドの向かい側の壁際に置かれたドレッサーの大きな鏡には、次のような奇妙な光景が映し出されていた。
ユリの口とおまんこには、深紫色の中身の詰まった太いホースのようなものが、それぞれ挿入されていた。それらのモノは、のたうつように蠢きながら、穴の中への抽送を規則的に繰り返している。乳房には、濃緑色で細長い蔓のようなものが複数巻きついて、ふたつの膨らみをプルプルと震わせながら、先端部分が撓んでウリウリと弾くように乳首を弄んでいた。尻から腰のラインにかけては、厚手の葉っぱのようなものがスリスリと摩るように、汗で艶かしく光ったユリの白い肌の上を這い回っていた。
そうした妖しい物体の大元をたどると、例の球根が植えられた鉢に行き着く。ソコから長く伸びた茎や葉、蔓のようなものが、寄ってたかってユリを犯しているのだった。
「…ぃう…ぃぐ…ぃぐぅぅ…」
くぐもった声を漏らしながら気を遣ったユリは、からだ中から力が抜けてしまい、頬っぺたをベッドに着けて突っ伏してしまった。ヒクヒクとからだを痙攣させるユリのからだの動きに呼応して、濃緑色の茎や蔓の奇怪な動きは、少しの間、停止した。
次の瞬間、さらに奇妙なことが起こった。
からだに纏わりついていた、茎や葉、蔓のような物が一斉に、ユリのおまんこに向かって収縮を始めたのだった。それはあっという間に、ユリのおまんこの中へ納まっていった。鉢に植えられた球根の方も、何事もなかったように発芽したままの姿に戻っていったが、それぞれが瞬く間の出来事で、夢と現実の間を彷徨っていたユリには全く気付くことができなかった。
ユリは、ベッドの上へ顔を横向きに伏せて、尻を高く突き出した体勢のまま、大きく喘いでいた。ショーツは膝まで降ろされ、ブラジャーは、鎖骨の辺りまでズリ上げられてしまっている。おまんこも乳房も剥き出しになったアラレもない姿だった。
「…はぁ…はぁ…はぁ…」
幻でも見たのだろうか? いつの間にか、タカシの気配はベッドの上から消えていた。
(…あたし…自分で…)
おまんこの奥の方が、心臓の鼓動に合わせて、まだじんじんと疼き続けている。おまんこから垂れた愛液で太ももの内側はべっとりと濡れてしまっていた。掛け布団にもいくつか染みができている。唇の周りも垂らしたよだれで同じくべとべとになっている。いかになり振り構わず快楽にのめり込んでいたかがハッキリと意識された。
自分は、こんなにも性欲が強い女だったろうか? 真っ昼間から、夫の幻覚まで見てしまうほどの、意識が飛んでしまうほどの、激しいオナニーに耽ってしまうなんて……。
(…あぁ…でも…すごくヨカッタ…)
寝室にはまだ、あの甘ったるい匂いが微かに漂っていたが、先日と同様に強烈な眠気を覚えたユリは、改めてそれに気付くこともなく、身繕いもせずに立てていた両膝を伸ばして完全にうつ伏せになると、そのまま寝息を立てて眠ってしまった。