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"ちぃちゃん"に勝った!
【幼馴染 恋愛小説】

"ちぃちゃん"に勝った!-5

大晦日の夜
私は着替えて、雅樹に買ってもらったコートを手にしてリビングに降りて行った。リビングでは父と母がくつろいでいた。
「千聖?出かけるの?」
母が聞いてきた。
「うん....カウントダウンの花火を見に....」
私が答えると
「こんな時間にか?まさか男と行くんじゃないだろうな!」
父がものすごい勢いで怒り始めた。
その時チャイムが鳴ったので行こうとすると
「待ちなさい!」
父に手を掴まれた。
「こんな時間に非常識だと思わないのか!」
「でも....」
「でも..じゃない!」
そこに玄関から母の声が聞こえた。
「千聖?何してるの?雅樹君が迎えに来てくれたわよ!」
母の言葉を聞いて
「千聖!雅樹君と行くのか?」
「うん....」
「何故それを早く言わないんだ!雅樹君が待ってる!早く行きなさい!」
「えっ?」
私が驚いていると
「千聖!今日は帰って来なくてもいいぞ!」
「お父さん....」
私が不安げに言うと
「雅樹君の部屋に泊まってきてもいいって言ってるんだ!」
「お父さん何言って....」
「雅樹君は真面目ないい男だ!一度でも関係を持つとお前を大事にしてくれる!雅樹君は奥手みたいだからお前から迫らないと....いいか!既成事実!忘れるな!一番の問題はお前に迫られて雅樹君がその気になるかなんだか....」
「お父さん!」
私が大声を出した時
「千聖!何してるの?雅樹君が待っているわよ!」
母が顔を出した。
「あっ!じゃ行くね!」
「頑張れよ千聖!」
私は父を無視してリビングをあとにした。
「千聖!」
廊下を歩いていると母が私を呼び止めた。
「何?」
「新しい下着に変えたのでしょうね!」
「えっ?」
「下着が汚れていると、雅樹君退いちゃうから....」
「お母さん!」
母はただ笑っているだけだった。
(もう....うちの親は何考えているんだか....)
雅樹と歩いていても親が言った事が気になって仕方なかった。
「あっそのコート....」
「うん....やっぱり私には似合わないかな.....」
「そんな事ない....スゲー可愛いよ!」
私は恥ずかしくて顔が真っ赤になった。
「お前熱でもあるのか?顔が真っ赤だぞ!」
雅樹は私の額に手を当てた。
「熱はないな....」
「当たり前でしょ!熱があったら家で寝てるわよ!」
そう言ったが、雅樹を意識して本当に熱が出そうだった。



「ねぇこの後..初詣に行かない?」
私は思い切って花火の後、雅樹を誘ってみた。
「ああ!いいよ!」
雅樹がOKしてくれたので花火の会場の近くにある神社に行く事にした。実は私は決めていた。おみくじで"大吉"を引いたら告白しようと....何かに背中を押してもらえないと告白出来ない....私は弱虫だ....今までも私は心に決めていたが当たった事がなかった....例えば次の信号が赤だったら告白しようという50%の確率でも外れていた....それでも次を求めていた....
参拝した後
「ねぇおみくじ引かない?」
「いいね!引こう!」
二人でおみくじを引いて
「ねぇどうだった?」
雅樹に話しかけると、雅樹はおみくじをチラッと見て
「俺はいつだって"大吉"だよ!」
雅樹は自慢げにおみくじを見せた。
「プッ....」
雅樹が見せたおみくじを見て思わず吹き出してしまった。
「それ!"大凶"だよ!」
「えっ?」
雅樹は慌てておみくじを確認した。
「ぬぉぉぉぉぉ....何で"大凶"が入っているんだよ!正月から縁起が悪いだろ!」
「ははははは.....」
私は笑いが止まらなかった。
雅樹は読まずに木の枝におみくじを結びつけた。
「ちゃんと読まなくていいの?」
「いいんだよ!縁起悪い!それよりお前のはどうなんだ?」
「えっ?私の?」
私は自分のおみくじを見た。固まっている私に
「どうせお前も"大凶"なんだろ!」
私は黙っておみくじを雅樹に見せた。
「ぬぉぉぉぉぉ....なんでお前が"大吉"なんだよ!」
「やっぱり....日頃の行いかな?」
余裕を見せて笑っていたが、内心ドキドキが止まらなかった。
(どうしよう....)
それが本心だった....
「何おみくじを熟読しているんだよ!」
「いいでしょ別に!」
私はおみくじに書かれている恋愛運だけを何度も読み返した。

"思いは必ず通じる。なれど短慮は禁物"

(これって....どうしろって言うの?)
私はそんな事ばかり考えていた。



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