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ビターチョコ
【青春 恋愛小説】

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ビターチョコ-3

本日は、お日柄も良いバレンタインデー。
そこら中でチョコのプレゼントイベント発生。
泣く子、笑う子、怒る子、様々。
教室内では、てんやわんやの大騒ぎ。
失恋したばっかの俺には、この狂喜乱舞がさすがに堪える…。

「ツライ…」
どこか静かな場所へでも行こ。


中庭にでも行こうと教室を出ると、そこには見慣れたヤツが…。
「タケ!!見てくれコレ!この数スゴくね!?」
開けられたカバンの中には幾つものチョコが…。
「スゴイネーカズヤクン!んで、本命は?」

「……ゼロ」

嫉妬よりも同情…。
これだけあるのに…。
「いや、ホント逆に凄いよ…」
「だろ!?」
褒めてねーよ!だからなんで、そこでニコニコする!?っつーか、ヘラヘラ?

「んまぁ、ってか、良かったなータケ!真理ちゃんメチャメチャ幸せそうだからさ。ほんっと俺は、ずっっとお前ら見てて、ムカムカしてたからさー」

言ってる意味がよく分からんが…。
「アイツが幸せならさ、俺もそれで十分幸せだから」精一杯の強がり。

「そりゃそーだ。じゃあ、俺まだ回収しなくちゃいけないからさ!二人ともお幸せに!!」

最後に奇妙な台詞を捨てて、和也は走り去ってった。

「アホらし…」

俺はそのまま中庭へと向かった。





もう告白のピークは過ぎたのか、人もまばらで、ざわめきは聞こえなかった。

「ふぅ…」
近くの丸太のベンチに腰を下ろし、辺りを見回してみる。
それでも所々では、まだチョコを渡している場面が見える。


あ、渡した。でも、逃げ出した。フラれたのか?

あっちも渡した。二人とも照れてるし。成功か〜?

あっちはなんか頼んでるし…。女が渋々チョコを渡したよ。男すっげー喜んでるじゃん!?あ、消えた。なんか和也みてー。
「っつーか和也じゃん!!情けね〜…」

こっちにもいるじゃん。
お、今から渡すみてーだな。ってかアレ、隣のクラスの長谷川と鈴木だ!
……ん?その近くの木陰に女の子が隠れてる……。
「って真理!?…なんで?」
しかも手には紙袋が提げられてるし…?



疑問に思っていたら、鈴木が長谷川にチョコを渡し終えていた。
なんかえらく見つめ合ってない?…うぁっ抱き付いた!!……あれ?真理?…
「え?…泣いてる!?…もしかして!?」
まさか!?と思い、俺は真理の下へと駆け寄った。


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