『SWING UP!!』第8話-29
「ん、はっ……ふ、ぅ……」
ようやく品子が、シャワーヘッドを肛門から遠ざけた。
「ちょっと……入れすぎ、ちゃったかな……」
力を緩めると、すぐにでも入れたものが漏れ出てしまいそうだった。
「い、いわんこっちゃない……トイレ、行くか?」
「ん……うん……」
体が濡れたままでは湯冷めをしてしまうので、トイレに品子を連れ出す前に、その体に纏わりついている水滴をバスタオルで拭う。
下腹に両手を添えながら、さながら便意を我慢しているような、というか、まさしく便意を我慢している腰の引け具合で、品子はトイレの中に身を入れた。
「だ、出すか?」
何故か自分を追い出そうとしない品子。それを幸いとばかりに、雄太はその場に留まって、彼女の様子を見守ることにした。
「もう少し、我慢しないと……あ、でも……苦しい……」
ぐるるるるぅぅ…
と、品子の白い下腹から、醜い音が響いた。
「む、無理すんなって」
未だ便座に座ろうとしない品子。自分がこの場に居るからなのか、と思いもするのだが、込み上げてくる便意に抗っている様を見せながら、品子は何も言わなかった。
ぐるるぅ、ぐるるるっ、ぎゅる、ぎゅる、ぎゅる…
「ん……ふ、ぅ……く……ん……んぅ……」
腰を上下させ、腹の中に入っているものを攪拌させるような動きをしている。
「はぁ、はぁ……あ……く………ん、んふぅ……」
品子の額には、玉のような汗が浮かび、堪えている便意の強さを、雄太に伝えていた。
「だから、無理しちゃ、ダメだって……」
「も、もう、ちょ……と……」
あらぶる呼吸を繰り返し、それでも品子は便座に座らない。
半開きとなった口の端から涎が垂れて、それが糸を引いて伝い落ちていった。
(我慢して……感じてる、のか……?)
とてつもなくダークサイドで、そして、変態的な恋人の姿である。
(や、やべ……)
雄太の股間で反りあがる雄根には、すでにゴムの装身具が嵌められている。その中で膨れ上がる陰茎の先は、溢れんばかりの先走りによって、ヌルヌルした感触が生み出されていた。
(品子の、こんな……ウ×コ、我慢してるとこ見て……興奮してんのかよ……)
それが否めないことは、雄根の先端が証明している。
「はぁ、はぁ……雄太……雄太ぁ……」
「どうした、品子……?」
「そ、そろそろ……みたい……」
どうやら便意が限界に達したらしい。
「お、そ、そうか……それじゃあ……」
名残惜しい気はしたが、雄太はトイレから出ようと考えた。これ以上ここに居たら、品子も安心してウ×コができないだろうし、それになにより、より深いところまで自分が堕ちてしまいそうな気もしたのだ。
「あ、あ、あ……も、もう……」
「?」
「もう、ダメッ………!」
「!?」
がくん、と品子の体が崩れ落ちる。
その、瞬間だった。
ブシュウウウゥゥゥッ! ブシュブシュッ!! ブリブリブリブリィィィ!!
「え、あ……しな…こ……?」
独特の破裂音と、何かが噴出していく汚らしい水音がトイレの中に響いた。
品子は、雄太が目の前に居る状況にもかかわらず、我慢の限界に達して、そのまま排便を始めてしまったのである。
「ん、く……ぅ……んんんっ……!」
ブジュゥッ! ブッ、ブブゥッ!! ブジュウウウゥゥゥゥッ!!!
「く、は、ぁ……ふ、う、ぅ……!」
品子は息みを繰り返して、衝撃的な音と共に尻からあふれ出るものを便器の底へ叩きつけていた。
便器の水溜りが、どうなっているかは見えない。しかし、おそらくは、見るのも憚られるほど世にも醜悪な様が、そこにあるだろう。汚辱の極みと言って良い音の響きと、鼻の裏まで刺激してくる悪臭によって、それは容易に想像ができた。
とても、“麗女”というべき品子が、しているものとは思えない光景がそこにはあった。
「は、ぁ……は、ふぁ……く、ふ……」
その後も、濁った空気の音と淀んだ水の跳ねる音が断続的に繰り返され、
「はぁ……はぁ……はぁ…」
品子の呼吸が落ち着くと同時に、その全ては終わりを迎えた。
「………」
雄太は瞬きも忘れて、全身を汗まみれにして俯いている品子を見ていた。
(やっち、まった……)
被せてあるゴムの先端の吹き溜まりは、射精の証である真白い粘液でいっぱいになっていた。品子の排便する姿を凝視しながら、雄太は達していたのである。
「雄太も……出ちゃった、の……?」
「あ、ああ……」
「ふふ……おあいこね……」
「そう、だな……」
冷静に見ればそれは、あまりにも常軌を逸した姿である。
だが、間違いなく二人の間には、互いの汚辱的な姿を見せ合っても崩れない、強烈な愛情というものが存在していた。