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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『SWING UP!!』第7話-28

「少し手抜きするけど、許してよ」
 お姫様が所望するカレーライスの具材を手に入れるため、いささか古い話にもなりかねないが、チャー……なんとかのCMを思い出す光景で、近場のスーパーへと繰り出していた桜子と大和であった。
 二人は今、野菜売り場で必要なものを見繕っている。そして、大和が手にしたものは、“カレー・シチュー用”と銘打たれた、カット野菜が詰め込まれた真空パックだった。
「野菜を切る手間が、省けるからね」
 ニンジンはともかく、ジャガイモがてごわい。1パックが二皿分なので、それをふたつ、桜子が持っている買い物カゴへと移し入れた。
「この中にたまねぎも入ってるんだけど、全然足りないから…」
 バラ売りのたまねぎを二つ、カゴの中に入れる。
「お肉は?」
「チキンにしよう」
「うん♪」
 生鮮食品売り場にて、“煮込み用”とある鶏肉のパックを選ぶ。チキンカレーは桜子も大好物だから、依存は全くない。
「えっと、カツはあるかな……」
「んー……あ、あるある。出来立てじゃないけど、これにしようよ」
 桜子が見つけた惣菜のロースカツは、値段の上に“3割引”の表記がしてあったので、おそらくは大分前から店に並んでいたものだろう。
「それじゃあ、これも追加しておこう」
「?」
 大和は、桜子がかごに入れたロースカツのパックのほかに、5個入り一袋となっている牛肉コロッケも追加した。
「カレーができるまでの、つなぎだよ。2皿目は、コロッケカレーにしてもいいかもしれないしね」
「♪」
 桜子の顔が、にこやかに輝いた。なにしろお腹は既に、空腹のアラームが鳴り響いて止まりようもない。夕飯時ということもあって、スーパーの中は賑やかしい雰囲気だったから、周囲には聞こえていないだろうが…。
「桜子、カレーといえば?」
「牛乳!」
 正解、とばかりに大和は、農協牛乳を2パック、カゴの中にご招待していた。なんとも妬ま…楽しそうな、二人の買い物風景であった。
「よう、お前ら。奇遇だな」
「「えっ?」」
 あらかた求めていたものは揃ったので、そろそろレジに並ぼうかとしていたときに、二人は思いがけない遭遇を果たした。
「屋久杉先輩! 品子さんも!」
「よう」
「こんばんは、お二人さん」
「お疲れ様です」
 それは、雄太と品子である。
「二人そろって仲良く買出しか。こん畜生、相変わらず、ラブラブなこった」
「そういう先輩こそ」
「全然違うぜ。こっちのは“所帯じみてる”って、いうんだよ」
 苦笑しながら雄太は、右手に持つ買い物カゴを掲げてみせる。左手に余り重いものを持たないのは、投手である習性であろう。
 もっとも、品子にそのカゴを持たせていない辺り、二人の姿は“所帯じみている”としても充分にラブラブなものでしかない。リア充氏ね、という怨念の思考が四方八方から響いてきそうだ。
「でも、どうしたんですか? 先輩たち、この辺りじゃないですよね?」
 この遭遇は、想像もしていなかった。それほどに、目の前にいる二人の生活圏は、この近くにはない。
「まあ、遠出したついでってやつなんだけどな」
「遠出?」
「気分転換にな」


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