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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『SWING UP!!』第7話-11

 2部リーグ決勝トーナメント、最終試合の結果は以下のとおりである。

  双葉大|060|100|100|8
  東稜大|500|100|100|7

 こうして、双葉大学の二年連続二回目の2部リーグ優勝が決定した。

「やったな、屋久杉!」
 優勝トロフィーが雄太の手に渡され、図らずも出来上がったチームメイトたちの輪の中で彼は揉みくちゃにされた。
「お、おい、よせよ。よせったら」
 苦笑いを浮かべつつ、仲間の手洗い祝福を受ける雄太。
「みんな、喜ぶのはここまでだぜ」
 それが一段落を見せたとき、その表情は引き締まったものになっていた。
「これで終わりじゃ、ねえんだからな」
 2部リーグの優勝は、1部リーグへの昇格をかけた入れ替え戦に臨むための挑戦権なのだ。
 そして、雄太にとっての最終目標もまた、1部リーグへの昇格なのである。
 昨年は果たせなかった大願を、今年こそは成就させて見せる。その思いが、優勝トロフィーを手にしても緩まない、彼の引き締まった表情を形づくっていた。
「みんな、今日はありがとうな! ちょいとだらしのないピッチングをしちまったけど、それをカバーしてくれてよ…」
 雄太としては、この試合は本当にチームメイトに救ってもらったと言う印象が強い。だから、今までとは違う喜びがあった。
「2回の表の攻撃な。あれ、すげえ感動したぜ」
 4番の大和から始まる繋ぎの猛攻。下位打線で4点をもぎ取ったその攻撃は、昨年までは全く見られないものであった。それぞれの打者が自分の特徴を活かして、失いかけた試合の流れをもう一度引き寄せてくれたのだ。
「本当に、ありがとよ」
 チームメイトにこれまでの頼もしさを感じたのは、初めてだった。だから雄太は、抱いた感謝の気持ちを何度も口にしていた。
(雄太……)
 それを、意外なものとして受け止めていたのは、彼をよく知る品子だ。陽気な雄太の雰囲気に、違和感を感じている。
「本当のfinalは、2週間後です」
 場を引き継ぐようにして、エレナが言う。彼女は既に、入れ替え戦の日程が書かれた用紙を、協議委員から渡されていた。
「相手は、享和大学です。確か、lastyearも同じチームだったですね」
 途中まで1点をリードしていたが、結局は大差で敗れた相手だ。当然ながら、挑戦者として立ち向かわなければならない。
「今日の勝利は、みなさんの熱いspiritsによってgetsしたものです! そのspiritsがあれば、怖いものなんて何もありません!!」
 ぐ、とエレナが拳を握り締める。その気合が伝播したように、双葉大の面々は引き締まった顔つきで、エレナと同じように拳に力を込めていた。
 大和と桜子も、本当の意味での決勝戦とも言える入れ替え戦に臨み、その気持を新たなものにしていた。


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