裕美1-3
裕美は、新入生で入って来た時から私になついて来ました。何かにつけて「先輩、先輩」って慕って来たんです。
可愛いし、明るいし、みんなの人気者に慕われて、私も悪い気はしません。家の方向も一緒だったので、毎日のように一緒に帰るようになりました。
ある日、裕美が「今度先輩の家に遊びに行っていいですか?」って言って来ました。その時は、別に断る理由も無いし、軽く「良いよ!」って答えました。
「じゃあ、今度の土曜日行っても良いですか?」
その頃の私には彼氏もいなかったし、特に予定も無かったら、もちろんOKしました。
土曜日、お昼過ぎに裕美が家にやって来ました。 六月の初め、梅雨に入る少し前でした。天気も良くて、少し汗ばむくらいの日でした。
その日の裕美はスカートじゃありませんでした。でも、すっごいローライズのジーンズ。しゃがんだら間違いなくお尻の割れ目が見えるくらいのローライズに、ピンクのTシャツ姿でした。
私は一人っ子で、両親と私の三人で住んでいました。裕美が来た時には親がいたんだけれど、しばらくして出かけてしまいました。
私の両親はいまだにラブラブで仲が良いんです。その日も二人でデートに出かけてしまったんです。
お母さんが私の部屋に来て、「お父さんと出かけるから。裕美ちゃんゆっくりしていってね。」と言ました。
「ありがとうございます!」と裕美は明るく言いました。にっこり笑って。
その笑顔が、裕美の最大の武器です(笑)。たいていの人は、裕美がにっこりすると、何でも許しちゃうんです。とても魅力的な笑顔です。
しばらく他愛も無い話をしていて時間が過ぎました。
夕方の五時くらいだったか、お母さんから電話が来ました。
「これからお父さんと映画を見て、食事して帰るから少し遅くなるよ。まだ、裕美ちゃんは居るの?」
「うん」
「じゃあ、二人で何か食べに行っても良いし、ピザでも取って夕飯済ませてね。なんだったら、泊まっていってもらえば?」だって!
ラブラブなのは良いけれど、子供の事を少しほったらかしにする傾向がある両親です(笑)。今になって分かるんですけれど、多分二人はラブホに行ってたんだと思います。
その事を裕美に言ったら、すっごい喜んでた。
「え、じゃあ泊まって行っても良いですか?」
「良いけれど、親に怒られない?!」
「うちは先輩の所以上に『放任主義』なんです。それに、もしかしたら泊まってくるかも、って言って来たし」
そんな会話をしたと思います。
結局、それからピザを取って、二人で食べてから、私の人生を変えてしまった瞬間がやってくるんです。