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生徒はお嬢様
【コメディ 官能小説】

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生徒はお嬢様!?-1

「相変わらず、デカイ屋敷だな……」
 目の前にそびえ立つのは大きな豪邸。何処まで広がっているのか想像もつかないほど大きい屋敷。
 その屋敷の前に俺がこうして佇んでいるのには理由がある。
 俺が通っている大学の教授――俺の恩師でもあるその教授の誘いで家庭教師をすること
になったのはいいのだが、まさかその家庭教師の相手がこの町でも有名な富豪の九条家の
娘だとは思わなかった。一度引き受けてしまった以上、逃げ出すわけにもいかず――こう
して九条家の屋敷まで足を運ぶことになったんだが。
「教授もギリギリまで教える相手を教えてくれないとか、こんな時までお得意の茶目っ気
を発揮しないで欲しかったよ」
 若くして大学の教授になるほど、才能のある人なのは素直に尊敬できるけど、こういう
茶目っ気は正直勘弁して欲しい。しかも、あの人のことだから俺がこうして屋敷の前でう
ろたえている姿を想像して笑っているのだろう。
 まったく、勘弁してくれよ……
「しかし、いつまでもここに立っているわけにもいかないよな」
 意を決して、インターホンを鳴らす。
「…………」
 心臓がヤバイくらいに鳴り響く。ドクドクと他の人間にも聞こえてしまいそうなほど大
きく鼓動を鳴らす。
「――はい。どちら様でしょうか?」
 若い男性の声が聞こえる。きっと使用人だろう。こんな金持ちの家だ、使用人の一人や
二人は軽くいてもおかしくはない。
「あ、あの……俺、藤原彼方っていう者ですが、えっとですね。その――」
 緊張して上手く言葉が出ない。情けないほどに声が震えている。
「ああ、はい。藤原様ですね。お話は窺っております。すぐに使いの者を出しますので、
しばらくお待ち下さい」
「わ、分かりました」
 ふぅ……たった二言、三言のやり取りなのに、かなり疲れてしまった。最初の一歩でこ
んなに疲れて、これから先上手くやっていけるのかね?
 まぁ、結局のところ無理でもやらないといけないんだけどな。俺がここで逃げてしまっ
たら、この仕事を紹介してくれた教授の顔に泥を塗ってしまうから。恩師にそんなことを
してしまうような真似は絶対に出来ないよな。
「――藤原様でよろしいでしょうか?」
 さっき会話した人とは違う声の使用人らしき人が俺の前に現れた。
「あ、はい。藤原は俺ですけど」
「分かりました。では藤原様。私の後について来てくださいませ」
「は、はい」
 ズンズンと前を歩いていく使用人らしき人。そして慌てて、その後ろをついていく俺。
 こんな所でこの人を見失ったら迷子になりそうだ。見失わないようについていかないと。

「申し訳ございませんが、こちらで少々お待ちください」
「……はい」
 待合室のような場所に通されたわけだが、部屋の一つ一つがかなり広い。この俺が待っ
ている部屋だけですでに、俺の家の広さを超えてやがる。
「こんなだだっ広い場所に一人残されるのは、落ち着かないな」
 何をして待っていればいいのか全然分からない。これまた無駄にでかいソファにでも座
って待っていればいいのだろうが、普通の人間と金持ちとの差か、ソファに座るのも躊躇われる。
 汚れたり、傷がついたりしたらどうしようとか思ってしまう。
「はぁ。俺みたいな奴にはこんな所は合わないな」
「HAHAHAHAHA! それでは困るな青年よ」
「うわ――っ!?」


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