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It's
【ラブコメ 官能小説】

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★★★-3

「これからなんか予定あんの?」
「ん…ちょっと約束あるから」
「そっか」
「なんで?」
「メシでも食い行こーかと思ってたけど、用あんならまた今度にしよ」
「あー…ごめんね」
「ま、近いうちに練習もあるし。また連絡するわ!」
大介はそう言うと「歌詞、サンキューな」と言って去って行った。
陽向も「バイバイ」と別れを告げ、湊が待っているであろうカフェに早足で向かった。

「なんでさっきから黙ってるの?」
5分後カフェに着いた陽向は、湊の向かいに座った。
それから数分が経過したが、話し掛けてもつまんなそうにしている。
「ね、怒ってるよね?その顔」
「なんでそう思うの?」
「顔が怖いもん」
湊は鼻で笑ってタバコの先の火を見つめた。
何を考えているのか全く分からない。
陽向がイライラしていると「あいつさ」と湊が口を開いた。
あいつとは大介の事だろう。
「お前のこと好きっしょ」
「は?」
「は?じゃねーよ」
湊はつとめて平然と言ったが、やっぱり声が怒っている。
「お前の事可愛いだのなんだの言っちゃってさ」
「なに?人の会話立ち聞きしてたの?!最低」
「あんなとこであんな会話してる方が悪い」
「冗談で言ってただけでしょ?意味わかんないんだけど」
「お前も否定しねーでヘラヘラ笑っちゃってさー」
「ヘラヘラなんてしてないし!」
言い合いをしていると、数人がこちらに目を向けていることに気付いた。
「うるせーんだよお前は。来い」
湊は立ち上がって陽向の腕を掴んだ。
「痛っ!」
そのままカフェを出て、細い路地を歩く。
湊に腕を引っ張られながら。
「痛い!離してっ!」
思い切り腕を振り払うと、フェンスに身体を押し付けられた。
「やっ!…なに?!」
すぐ側まで湊の顔が近寄ってくる。
ふわっとタバコの匂いが鼻を掠める。
タバコ臭い男は嫌いだが、湊からするタバコの香りはなぜだか嫌いになれない。
目の前の顔が一瞬、意地悪そうに微笑む。
心臓がドクンと脈を打った。
「めちゃくちゃ怒ってるね」
「あんたが怒らせるような事ばっか言うから悪い」
「悪いね。そーゆー事しか言えねーからさ、俺」
湊はそう言うと陽向の首筋に舌を這わせた。
「あっ!ちょっと…ば、ばかっ!こんなとこで…」
「お前が悪いんだよ」
なんであたしが悪いの!!と反論したいとこだったが、その思いはすぐにどこかへ行ってしまった。
湊の舌が、耳を愛撫し始めたのだ。
「は…ぁ…いや……」
抵抗しようとするが、力が入らない。
陽向は湊の腕を握って身体を捩らせた。
抵抗を封じようとするかのように、身体で蓋をされる。
中に舌を入れられる。
「あっ!湊っ…」
身体中がゾクゾクする。
舌が耳から離れ、今度は唇を塞がれる。
気付いたら背中に腕を回していた。
湊も陽向を優しく抱きしめ、背中を撫でた。
包み込むようなキスに翻弄されていく。
ちゅっと可愛らしい音がして唇が離れる。
「あ…ありえない。こんなとこで…」
「とか言って感じてたクセに」
「うるさ……」
「続きは俺んちで」
湊はそう言ってスタスタと歩き始めた。
二週間経っても、彼の思考回路は謎に包まれたままだ。


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