ハーレム生活の開始-1
女の子に囲まれた生活。可愛い女の子が僕を取り合い身体を委ねてくる。
僕のために作られた楽園、花園。究極のハーレム。
そんな夢物語を想像するが、そんな都合のいいことが現実に起きるわけなんかなく――
「はぁ……僕だけのハーレムが欲しい」
女の子が僕に夢中な世界。そんな世界があれば男として、これほど幸せな世界はないだろう。
「あー、そんな都合のいいことが起きたりしないかなー!」
一人部屋の中で声をあげる。こんなことを他人に聞かれたらきっと、不審者扱いを受け
てしまうだろう。それは拙い。不審者扱いを受けてしまったら、女の子が俺に近づいてく
るなんてことが出来なくなるからな。
「なんつーかこう、皆が僕にメロメロになってしまうような、そんな奇跡のような薬とか
ないのだろうか」
一度使うだけで女の子が勝手に僕に寄ってきてエッチなことをしてしまう。そんな奇跡
にも魔法にも似た効果のある薬。そんな薬があれば、どんな手段を使っても手に入れるんだがね。
「……でも、あるわけがないよな」
頭では、そんなものがあるわけがないと理解していても自身の身体はそれを求めて調べ
てしまう。インターネットを使い様々な言葉を入力し、英語の辞書を片手に海外のサイト
を調べたりと、無駄と知りつつもやってしまう。
「完全に時間の無駄だなこれ……」
こんなことをするくらいなら、外に出てナンパの一つでもすればいいのに、僕は一体何
をやって――ん? 何だこのサイトは……
「どんな不細工でもモテモテになれる魔法の香水だと?」
堅苦しい英語で書かれているサイトにはこう書いてあった。
○この香水を使えば、どんな不細工でもすぐにモテモテに!
○持続性抜群! モテモテになるだけではなく精力UPにも!
○使用法も簡単で、どんなバカにでも使える!
○好きなあの子もあなたにメロメロ!
○これであなたも性奴隷を作ることも出来る!
○童貞野朗ども、セックスをしたいか!? ならばすぐにこれを購入しろ!
若干、不愉快な文面があるが、このサイト曰く効果は凄まじいものらしい。
値段も高いというわけでもないし、ここは一つ騙されたと思って購入してみるのもいい
かもしれないな。まぁ、副作用とかそこら辺が書かれていないのが恐いがな。
それでも僕ためのハーレムが作れる可能性があるのならば、試してみるのも悪くはない。
僕は辞書と注意事項を何度も往復させながら、その怪しい薬を購入した。薬が来るのは
一週間後。一週間後には僕は女の子にモテモテになり、夢のハーレムを作ることが出来るんだ!
「ふは、ふはははははははははっ!」
自然と高笑いが漏れる。これが笑わずにいられるだろうか。否、いられないな。
あーはははははははっ!
「そろそろ。もうそろそろ届くはずだ……」
謎のサイトで見つけた、モテモテになる香水。その香水がもうすぐ届くのだ。これほど
ワクワクしたのは実に久しぶりだ。
「もうすぐ、もうすぐ僕はモテモテのハーレムの主になれるんだー!」
意味もなく天井に向かって雄たけびをあげる。僕は、僕はモテるんだ!
「佐藤さーん! お届け物でーす!」
「あ、はい!」
ついに荷物が僕のもとに届けられる。緊張の面持ちで領収書にサインをし、荷物を受け取る。
「こ、これで俺は……」
夢に描いていた女の子に囲まれた生活。究極のハーレム生活を送ることが出来るんだ。
ワクワク……ドキドキ……ニヤける顔を抑えながら荷物の入ったダンボールをビリビリと破る。
「こ、これが……」
そして目の前に現れた一つのビン。見た目はごく普通のビンにしか見えないが、ラベル
の部分には『魔法のモテ香水』などと、いかにもな……それでいて明らかに怪しい文字が
踊っていた。
「変な副作用とかない、よな……?」
魔法のモテ香水に付属されている説明書を熟読する。何か危険なことが書かれていない
か、そこを重点的に調べて説明書を読む。
「……何も怪しいことは書かれていないな。これなら安心して使える、か?」
この説明書が全てではないだろうが、それでもこの説明書を信じるしかない。それに仮
に何かしらの副作用があっても、それは仕方のないことだろう。
モテモテのハーレムを作るのには、ある程度のリスクは必要だろうから。
「よし、早速使ってみるか!」
買った以上、使わないと意味がないからね。使って効果を確かめないといけない。
「そんなわけで……まずは誰に使おうか」
単純に効果を調べるだけなら、この場で使って外に出ればいいのだが、この魔法のモテ
香水が強すぎたら予想外のことが起きる可能性がある。
具体的に――年寄りとかに効いてしまったら……と思うと、この場で使うのは怖いな。
では、誰に何処で使うのがいいのか? そう考えた瞬間、僕はある場所を尋ねていた。