THANK YOU!!-1
瑞稀と、連絡がとれなくなってもうすぐ一年になる。
あのメールが送られてきてから、一度も返事が返って・・こない。
俺は・・もしかして、・・・嫌われたのか・・?
そんな考えがずっと頭を巡っていた。
その度に、違うと自分に言い聞かせて。剣道に打ち込んで。
こんな日々の繰り返し・・。
怪我や病気では無いと思う。アイツの叔父さんが、少し前に偶然会って話をしたら、
「心配しないほうがいい」って言って苦笑いしてたから。
でも、それだけだった。
アイツは今、どこにいるんだろう。何をしているんだろう。
“恋”が・・こんなに苦しいものだって、初めて知った。
“初恋”だから・・なおさら、なのかもしれないけど。
「・・会いたい」
ベッドに身体をあずけたまま、呟いた言葉は空気と共に消えた。
・・・それと同じで、こんな暗い気持ちも一緒に消えてしまえばどんなに楽だろう。
「拓斗。電話」
ノックもなしに、人の部屋に入ってきた母さんは単語で用件を伝えてきた。
いつもなら、文句の一つでも言っているが今はそんな気分になれない。
仕方なしに視線を天井から入口に立ったままの母さんに移して、重い口を開く。
「・・誰?」
起き上がるつもりはあんまり無かったが、母さんが「起きないと電話出れないでしょうが」という眼を向けている為、ベッドから起き上がった。
その様子を見た母さんが、ため息をついた。今にでも、「アンタ、いい加減にうじうじすんの止めなさいよ」と、いつもの小言を言ってきそうだった。・・仕方ないだろ。
電話。俺宛は珍しい。ていうか、ほとんど無い。
面倒に思いつつ、内心は瑞稀だったら良いと思った。
でも、多分違うだろうな。アイツは・・電話、嫌いだから。
「瑞稀ちゃんのお友達らしい女の子で、アンタに話があるんだって。
確か・・紫波さんって言ってたかな」
「アイツの友達?・・紫波って・・」
覚えてる。
紫波って確か、アイツの親友で・・柊と同じくらい信頼してる。
いつも、楽しそうに話してた。
そんな奴が、何で俺に話なんか・・。そもそも、何の話だよ・・。