THANK YOU!!-3
かなりの時間をかけて、説明されたことは全て俺の初耳だった。
鼓笛のステージで最優秀演奏者賞を貰った関係でアメリカにある有名なウィンドオーケストラからオファーをされて。プロになりたくて、契約を結んで学校を退学してアメリカに行った・・。これが、瑞稀の高校一年の10月に起きたこと。
とりあえず、アイツがアメリカに居てトランペットを吹いてることは分かった。
・・・でも、納得出来ない。
何で、アイツは俺に話してくれなかったんだ。
そういうことなら、なおさら話して欲しかった。
何で・・親友である紫波には話して・・、恋人である俺には・・何にも言わないで・・。
『・・ちなみに、瑞稀のケータイはウチが預かってる。海外対応してないしね。』
「・・そうか。」
俺たちにとって唯一の、連絡手段だったケータイも預けたのかよ・・。
本当に俺には・・知られたくなかったみたいだな・・。
嫌な考えが・・、ずっと違うと言い聞かせてきた考えが蘇ってくる。
一人で、アイツを想い続けてたのか・・俺は。バカみたいだ。
『・・まあ、少し頭の整理とかした方がいいかな。じゃあ、ウチは切るよ』
「・・なあ」
電話を切ろうとしたアイツを、呼び止めた。
もう、どうでも良くなってきた。
「瑞稀は、俺のこと・・もう嫌いになったんだよな」
・・自分でも信じられないくらいの低い声が出た気がした。
電話の向こうで、紫波が息を呑むのが分かった。
その沈黙で、頭が冷えた。何聞いてんだろうな、こいつに。頭おかしくなったな俺。
訂正して、電話切らねえとな・・あと、お礼も言わねえとな・・。
「紫波、わるk『ふざけないで!!!』・・っ!?」
聞かなかった事にって言おうとした瞬間、思いっ切り大声が耳に届いた。
少し、てかかなり耳がキーンとして、痛い。
それでも怒った紫波は、構わず続けた。