THANK YOU!!-2
「電話代わりました、鈴乃拓斗ですが」
『あ、ども。君が鈴乃君かー。初めまして、紫波恵梨って言います。知ってるかな?』
受話器から聞こえてきたのは、少し大人びた声。でも、それに反例して口調は少し子供っぽい。
こんな奴が瑞稀の親友なのか・・。
何か、アイツの知らない事を一つ知ってしまった気分だな・・。
「あぁ。瑞稀から、よく話は聞いてたよ。親友・・だろ?」
『うん。まあ、その話はまた今度。気が変わらない内に話したいから』
・・・“気が変わらない内に”・・?どういう意味だ・・?
何か、モヤモヤする。これ以上は聞いちゃいけないような・・そんな感じがする・・。
「・・なんだ?」
『・・・まずは、確認しときたいんだけど。・・今、瑞稀がアメリカに居るの、知ってる?』
「・・・・・・え・・・・?」
紫波の口から出たセリフ。流れすぎてて見失った。理解するのに、時間がかかった。
とんでもない事を聞かれた。しかも訳が分からない。
アメリカ?海外のアメリカだよな?瑞稀は・・そこに居るっていうのか・・?
ていうより・・何で、俺はそれを知らないんだ・・?
何で。アイツの親友から聞かされてんだ・・?
『・・その様子からすると、答えはNOだね。・・やっぱり、瑞稀、何も言わなかったんだ・・』
“やっぱり”?“言わなかった”?
待てよ。全く話が分からない。
・・・・何で俺は分かんないんだ・・?
もしかして、俺だけ、何も知らなかった・・・?
『とりあえず、この話はウチだけしか知らない。瑞稀とも“何も言わない”って約束したけど・・悪いけど、鈴乃君に話す。いい?』
・・こいつは、全てを知ってる。
俺は、知りたい。アイツが今、どこにいて何をしているのか。
何で、俺には何も言わなかったのか・・全部。
そしたら、あのメールの意味も・・わかるかもしれない。