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THANK YOU!!
【純愛 恋愛小説】

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THANK YOU!!-10



荒ぶった気持ちが収まった拓斗は、瑞稀の唇を解放した。
すると、途端に、息を吸い込む瑞稀。ひどく息切れもしていた。

「・・…っ、………っ、……」
「・・・キス。久しぶりだったのか?」
「っあ、っ・・あ、当たり・・前でしょ・・っ。」
「・・・マジか・・。良かった」
「っ、ふぅ・・何が?」

少しずつ、落ち着いた瑞稀は拓斗の質問に疑問がふっと浮かんだ。
とりあえず、ここまでされたんだから真意くらいは聞いても文句ないだろうと想い、聞いた。

「だって・・、向こうじゃ、キスが当たり前だって聞いたし」
「・・・・誰から」
「・・柊」
「・・・・プッ・・!!」

真顔・・いや、少し拗ねた顔で言われた瑞稀は嫌な予感がしてその情報の出どころを聞いた瞬間、吹き出した。
当然、拓斗はイラっとする。

「何で笑うんだよ」
「だって・・そんな唇にするわけじゃないし・・」
「え・・?」
「てか・・いい加減気づこうよ・・秋乃に騙されたこと・・」
「は!?」

必死に笑いを堪えて事実を告げる瑞稀に対し、ポカンとする拓斗。
言われた意味が分かると顔が林檎のように真っ赤になった。

「なっ・・!!あ、アイツっ・・!!!」
「だから、さ。拓斗の思い違いだよ。」
「〜っ!!!」
「・・・・・ごめんなさい」

恥ずかしさで何も言えなくなった拓斗の胸に、笑いを止めて瑞稀は顔を埋めた。
その積極さに、驚いた拓斗だったが、言われた言葉で真顔に戻った。

「絶対、離れたら恋人で居られないと思った。でも、だからって忘れないでっていって縛り付けたくなかった。それで、拓斗が・・幸せになれないのは、嫌だ。だから・・」
「俺はむしろ縛り付けてもらった方が良かった。だって・・俺一人で想い続けてるんじゃないかってずっと不安だった・・」
「ゴメン・・。拓斗が幸せならって・・そう思って言わなかった」
「俺は・・お前と一緒なら、想い合えてるなら・・幸せだから」

拓斗の優しい言葉に、再び涙を流しそうになる瑞稀。
勿論、さっきとは違う意味の涙。

「・・拓斗。こんな私でも・・、許してくれるなら・・もう一度、付き合ってください」
「・・・何で?」

グサリと、胸に刺さる低い声。
耐え切れない涙が悲しみという名で溢れた瑞稀に、拓斗は優しく言った。

「さっきっから言ってるだろ。想い続けてた。って。お前と別れたつもり、全く無いんだけど?」
「え・・っ」
「だから、瑞稀が帰ってくるの、ずっと待ってた。」
「拓斗っ!」

嬉しさという名の涙が溢れた瞬間、瑞稀は背中ではなく、拓斗の首に回して抱きついた。
拓斗も、瑞稀を強く抱きしめて、首に顔を埋めた。

「「大好き」」

二人の声が重なり、笑いあった直後。
二人の唇も重なった。



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