THANK YOU!!-4
「これ・・っ!!」
「チューナー・・っていうの?音を合わせるのに使う、とても大切なモノでしょ?」
「・・でも・・!」
「・・・瑞稀。ビニール袋も見てみなよ」
申し訳ないと渋る瑞稀に、ずっと見守っていた恵梨が声をかけた。
瑞稀は頷いて、ビニール袋を腕にかけたまま仲を見た。
そして再び驚き、今度は祖父の顔を見る。
祖父は未だに照れくさそうにしていたが、言葉を発した。
「ラッカーっていうんだろ、トランペット磨くやつ。あとオイルひと箱。向こうに同じやつがあるか分かんないから、とりあえずだが。」
「・・・・」
瑞稀は、もっと言葉が出なくなってしまった。
すると恵梨が立ち上がってダイニングの脇に置いていた自分の荷物から大きめの布袋を取り出した。
「ちょっと安心したー。おばあちゃん達と被らなくて・・。」
「・・恵梨・・?」
「コレ。ウチと、マザーとファザーから、こんなもんでゴメンね」
「・・・開けて、良い・・・?」
もうすでに抱えきれない程持っていたが、手放すことはしたくなくて、片手で受け取った布袋を開けて、中に入っていたモノを取り出した。
そのせいで布袋が床に落ちてしまったが、中身を見た瑞稀には気にすることが出来なかった。
「・・これ・・」
「えっと。一冊目がウチ特製のアルバム。写真いっぱい貼ったんだ。あとの三冊は楽譜入れる用のファイル。ファイルカバーはマザーが刺繍してくれて、デザインはファザーだよ」
恵梨がそこまで言ったとき、瑞稀の頬に何本も涙が流れた。
それは、紛れも無く嬉し涙。何を考えるわけでもなく、無意識に流した。
瑞稀は拭うことをせずに、貰ったモノ全てを抱き締めた。
「ありがと・・、ありがとう・・・っ!!」
みんなに愛されている実感が嬉しくて涙を流す瑞稀を見て、プレゼントを贈った人たちは優しく笑った。