THANK YOU!!-9
「何で!?」
今、恵梨の頭を巡っている中で一番最初に出てきた言葉。
誰だって、そう思うだろう。あんなに相思相愛なのに、別れるという言葉。
信じられなかった。
瑞稀は、顔をあげて恵梨を見た。悲しげな顔をして。
「・・遠距離だし・・初恋同士だし・・アイツ、モテるし・・」
「っそんなの!!」「それに!」
瑞稀の言葉に反論しようとした恵梨は、次に聞こえたセリフに動き・・いや、思考が止まった。
・・・そうだった。瑞稀は、相手の事を思う人。
だから・・こんなセリフ・・。
大きく息を吐いた瑞稀は、恵梨の顔を見て謝った。
何で謝るのか反射的に尋ねると、「心配してくれたから」と言った。
だが、その声も、悲しさで歪んだ顔を印象づけるモノにしかならなかった。
「瑞稀・・・」
「・・お願い、恵梨。分かって・・」
「・・・」
恐らく、この二日間かけて出した答えなんだろう。
哀願する親友に、今の自分では共に一緒にいることしか出来ないのだと改めて実感した。
・・・どうしようも、出来ないんだと。
「・・分かった・・。もう、これ以上・・言わない」
「・・有難う」
瑞稀は少し笑顔でお礼を言った。だが、三日前に見た、拓斗の事を楽しげに話していた笑顔とは全く別物だった。
そんな親友を見た恵梨は、せめてアメリカに行くまでは瑞稀の望むことを一緒にしたい。
そう思った・・。