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恋愛戦隊ラブレンジャー
【その他 官能小説】

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恋愛戦隊ラブレンジャー-1

『宇宙の平和を守るためっ!』
『みんなの幸せ守るためっ!』
『この世に悪がいる限りっ!』
『五人の力をひとつにまとめっ!』
『命を懸けて戦い続けるっ!』
『愛と平和の使者っ!』
『銀河戦隊っ!ギャラクシー・ファイブ!!』
…ドカァ〜ン!!

−『はいっ、オッケーっ!!』
監督さんの声が響く。このシーンの撮影が終わった。戦隊モノは、一月から新シリーズに変わる。この時期になると早速、撮影が開始される。

−『しっかし、たまんねぇなぁ…』
ブラック〈慎二〉が声をかけてきた。
『えっ、何が?』
『分かんねぇかよぉ、イエロー〈杏子〉。後ろの爆発だよ。確かにさぁ、この番組には爆発は付きモンだよ。だけど、近すぎて熱いし、オマケに俺様、フッ飛ばされそうになったよ。』
『そうそう。危なすぎだよぉ。一応は私達もいるんだから、少しは遠慮して欲しいよねぇ…』
そばにいたピンク〈亜希〉も、話に交じってきた。

−私達5人は、戦隊シリーズに抜擢された若手タレント。みんな、それぞれがオーディションを通過して、出演まで辿り着いた。
最近の風潮なのか、ヒーロー物は主婦人気が非常に高い。母親が子供達と一緒に観ているウチに、イケメンヒーローにハマるらしい。
事実、オーディションでは演技より外見を優先された、そう慎二君は言っていた。

−『さて、次の撮影場所に移動ですね。』
レッド〈拓磨〉がマスクを脱ぎながら言った。
私と亜希ちゃんは、女性用控え室になっている大型キャンピングカーに行き、シャワーを浴びた。そして、次のシーンの衣裳に着替える。
この類の番組で使われるのは必ずミニスカート。スタッフ達は動きやすさ重視とか言うけど、明らかな視聴者サービス。
これから撮影されるアクションシーンなんか、変に意識してしまう。
『この服のデザイン、カワイイよねぇ。』
亜希ちゃんが言ってきた。
『でもぉ、キックなんかしたら丸見えだよ。少し、抵抗あるなぁ…』
『けど、それで人気が出たら儲けモンでしょ。少しくらいだったら見えても問題ないよぉ。』
亜希ちゃんは、妹系キャラで売り出している。しかし本来は、かなりしたたかな考え方をするタイプだ。
彼女は私より年上だが、背が低くストレートヘアー。そして、大きく綺麗な瞳を持ったコだ。
性格も悪くない。短い時間しか接してないが、人の事は悪く言わないし、よく気が利く。
しかし、出世欲が強いのか、有名になる為の手段を常に考え、それを実行する。
事実、スカート丈なんか従来よりも5cm上げている。少しでも、人の目に止まる様に。彼女なりの努力だろう。
…コンコンッ!
『支度終わった?』
ブルー〈健太〉の声だった。彼はこのチームのリーダー。五人の中でも最年長。しっかりした言動で、みんなのまとめ役になってる。
番組内でも彼がリーダー役。なので、カメラが回っていなくてもみんなからは【リーダー】と呼ばれている。
…ガチャッ!
『すいません、お待たせしちゃって…』
着替えが終わり、表に出た。
『そんな焦らなくてイイよ。さぁ、行こうかっ!』
気を遣ってくれてるのか、笑顔で言ってくれた。

−私達の移動は常に車を利用する。本来ならスタッフが用意してくれるのだが、全員で慎二君の車に乗る。本当に、私達五人だけ。マネージャーさん達も乗ってない。
慎二君は車が大好きで、移動時の運転手役を担当している。愛車はアストロ。五人で乗ってもまだ余裕がある。
『ところで、これからの事なんだけど…』
リーダーが口を開く。メンバーしかいない空間。そこが私達の会議室になる。
『僕はこの番組をステップに、各方面で活躍出来る様になりたい。多分それは、みんなも一緒だと思う。』
『それはそうですね。いつまでも【ギャラクシーレッド】で終わりたくないですし。』
『例えば、アクションシーンはみんながそのまま演じてるだろ?僕は僕なりに考えて、アクションの勉強やジムに通ってる。』
『へぇ〜。リーダー様、やるじゃん。』
『慎二君。ちゃんと前見て運転してよぉ。危ないからさぁ。』
『ごめんごめん、亜希様。』
『そこで、みんなにも何か考えて欲しい。別に強制はしない。僕自身、先に進む為にこのステップを大事にしたいと思ってる。疎かにせず、ひとつの事を遣り遂げる。そうすれば、必ず周りの評価は上がるだろう。』
しっかりとした口調で話すリーダーの言葉。私にも充分に理解出来た。


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