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恋愛戦隊ラブレンジャー
【その他 官能小説】

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恋愛戦隊ラブレンジャー-11

−打ち切り。この連絡が入ったのは、それから一週間後の事だった。
局側としては、内密に処理する予定だった。しかし、どこからか漏洩した情報が、写真週刊誌に面白おかしく脚色され、掲載されていた。
当事者のディレクターは責任を取る形で辞職、そして慎二君も事務所を辞めた…

−『ごめん…』
深々と頭を下げる慎二君。みんなで居酒屋にいた。多分、この五人が集まる最後の機会。そう思った彼が、セッティングした席。
『もうイイ。顔を上げろよ。』
彼がたしなめる様に言った。顔を上げた慎二君。目は真っ赤になっていた。
『しかし、呆気なかったですね…』
『ホントだよぉ。あのバカ親父が余計な事、言わなきゃ…』
『よせっ!もう済んだ事だ。』
彼の一声で、静まり返ったテーブル。
『何で、あんなバカな事したんだろ…』
いつもと違い、弱気な慎二君。
『慎二。ハッキリ言っとく。お前がやらなきゃ、僕がやってた。』
『えっ…』
『僕はリーダーって立場があった。みんなをまとめる為に、僕はあそこで我慢したんだ。本来なら真っ先に動いてなきゃおかしいのに…』
聞き入るみんな。彼が慎二君を見る。
『あの行動は正しいモノじゃない。しかし、間違ってもない。慎二、お前はみんなを代表して行動してくれたんだ…』
私も、亜希ちゃんも、拓磨君も、そして彼も慎二君を恨んじゃいない。そんなワケなど無かった。
『みんな…』
気が付いたら泣いてた。みんな泣いてた。もう、堪えきれなかった。
『僕はお前に出会えて、楽しかったぞっ!』
『リーダー…』
慎二君の肩が震え、頬に涙が流れる。悲しい、けど嬉しい涙。私にはそう見えた。
『リーダーってのはよせよ。もう、番組終わったんだしさ…』
『いや…俺様にとっちゃ、リーダーはリーダーだって。』
涙を拭いながら、慎二君が言った。確かに彼は、これから先も私達のリーダーなんだ。
『さぁ、気分を変えましょう。これからの僕達の進むべき道の為にっ!』
拓磨君の号令で、高々と上げられたジョッキ。
『じゃ…いくぜっ!必殺っ!!』
『ファイブスター・ウェーブ!!!!』
…カキンッ!

−『声が出てねぇよっ!
そんなんで後ろの客に聞こえるかっ!?』
『はいっ!!』
あれから半年。私は劇団に戻った。次の舞台の稽古に精を出す。
みんな、バラバラになってしまったが、それぞれのポジションで頑張っている。
亜希ちゃんは、グラビアアイドルとしてブレイクした。近々、二冊目の写真集が出るらしい。
拓磨君は、バイクの技術を生かし、アクション俳優に転向した。本人から聞いたのだが、香港から映画の誘いが来ているそうだ。
慎二君は芸能界を引退した。しかし、持ち前のドライビングテクニックで国際A級ライセンスを習得。現在、フォーミュラニッポンを目指し、挑戦している。
そして彼…
『君の演技に負けない台本を書かなきゃ。』
そう言って、二ヵ月ほど前にアメリカに渡った。
本場、ブロードウェイ。そこで脚本家として修業をしている。
淋しくないと言ったらウソになる。でも、私にも目標があった。
【彼の書いた脚本。その作品に主演したい。】
彼には負けてられない。逆に愛想をつかされない様に、演技を研き、トレーニングを続けなきゃ。
『やりゃ出来るじゃねぇかっ!その調子だっ!!』
『はいっ!ありがとうございますっ!!』
みんなの未来。それは闇に包まれた空間。しかし、自力で明かりを照らそうと努力している。
みんなに出来て、私に出来ないワケがない。
だって私は、【愛と平和の使者】の一員なんだから。


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