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恋愛戦隊ラブレンジャー
【その他 官能小説】

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恋愛戦隊ラブレンジャー-3

−撮影も終わり、マンションに帰る。私の不安、それは体力的な問題。明らかに落ちているのが分かる。高校時代に比べたら、雲泥の差だ。
確かに、最初は基礎体力を向上させる事を考えた。しかし、それに加えて殺陣の特訓となると、時間が足りない。
『剣道の事、言わなきゃよかった…』
枕を頭に被せて悩んだ。
後悔が私に降り掛かる。こうなる事が分かっていたなら、少しでも体力作りをしておくべきだった。
しかし、今さら悩んでも始まらない。
…ブルルルッ!
そう思った矢先、携帯が震えた。
『はい、もしもし…』
〔あっ、杏子ちゃん?私だよ。〕
声の主、幼なじみのお姉さん〈愛美〉だった。
『あっ!愛美さんっ!!』
〔最近、テレビで見掛ける様になったから気になってさぁ。元気してた?〕
愛美さんは、私が小さな頃からお世話になっている人だ。
いつも、宿題を見てくれたり、遊び相手になってくれてた。好きな男子が出来た時には、相談にも乗ってくれた。
私は、現状を愛美さんに相談してみた。

−〔へぇ〜。テレビの世界も大変なんだぁ。華やかなとこばかり映ってるから、そうは感じなかったけどなぁ…〕
愛美さんの言う通り、画面に映るのは派手で目立つ部分だけ。
しかし、いざ裏に回ると過酷な生存競争が待っている。
『私、この世界で頑張れる自信はあります。でも、時間的に厳しいし…』
気弱になり、言葉が続かない。
それに気付いたのか、愛美さんが明るい声で話し始めた。
〔でもね、悩んでばかりじゃ何も始まらないよ。それより、その重たい雰囲気を何とかしなきゃね…〕
考えれば考える程、沈んでしまう私。子供の頃からの悪いクセだ。
〔あっ、そうだっ!明日の夜、ヒマかな?〕
急に、愛美さんが話し始めた。
〔実は明日の夜、私達の大学時代の友達と食事する予定なの。で、急で悪いんだけど、もしよかったら杏子ちゃんも一緒にどうかな?〕
愛美さんの友達。どんな人なのか…
確かに興味はある。しかし、全く知らない人に交じって浮いてしまうのではないか…
そんな考えが、頭の中をよぎった。
少し間を置いて、私は答えた。
『はい…イイですよ。明後日は撮影が休みなんで、明日の夜は大丈夫ですが…』
理由は簡単。愛美さんと話がしたかった。ただ、それだけだった。
〔じゃ、決まりね。夕方には連絡入れるから。場所は…〕

−詳しい説明を受け、私は電話を切った。
《友達かぁ…》
私は高校卒業後、両親の反対を押し切り、劇団に入った。子供の頃に観た映画。それに憧れ、将来は女優になりたい、そんな夢を抱いた。
その時の友達はいる。しかし、私が劇団を抜けてから疎遠になった。お互い、忙しいのだろうと思いつつ、なぜか連絡する事がなかった。
だからこそ、愛美さんが羨ましかった。
相談出来る人。今は、愛美さんしか思い浮かばない。何とか力になって貰いたい。そう思いながら、ベッドの中に潜り込んだ…

−次の日。撮影も予定通り終了し、帰り支度をする私。
『じゃ、お疲れさまぁ〜。』
他のみんなはそれぞれ、自分の目標とする事の特訓を始めていた。
少ない時間をやり繰りして、ジムに通ったり独自に練習をしたり…
《私だけか…》
独りだけ取り残された、そんな風に思えた。
…ブルルルルッ!
携帯が震えた。愛美さんだった。
『もしもし…』
〔杏子ちゃん?何か元気ないみたいだけど、大丈夫?〕
見透かされてる。
私は感情が言葉に出やすい。オマケに、愛美さんとは長い付き合い。そのため、私の考えてる事が手に取る様に分かるみたいだ。
『あんまり大丈夫じゃないです…』
〔やっぱり…で、仕事は終わった?もうすぐ店の前なんだけど。例の友達、連れて来てるから。〕
『分かりました。今から向かいます。』
〔気を付けてねっ!〕
電話を切った私。
正直な話、気分が乗らない。私の中にある焦りの為、そして見知らぬ人と会う不安の為。そのふたつが私の心の中にモヤモヤを作る。
しかし、愛美さんは私にとってお姉さんの様な存在。裏切りたくないし、とにかく話がしたい。
気持ちを切り替え、私は店に向かった…


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