愛のカタチU-1
秀悠についていくと、秀悠は家に入りすぐ戻ってきた。手には小さな袋をいくつも持っており名前を確認して子供達に手渡してゆく。
「すみませんお待たせしてしまいましたね、どうぞ」
仙水、葵、曄子が彼の家の中に入っていく。一人暮らしなのだろうか、走り書きした紙や薬草をいれた瓶が散乱している。
急いでお茶の用意をしている秀悠の傍に葵は寄り添い、彼の手伝いを申し出た。先程採れた山菜を料理させてもらおうと仙水も台所を借りている。
隣に立つ葵の横顔をみた秀悠は、その美しさに動きを止めた。視線に気が付いた葵が秀悠を見つめかえした。
「あ、また、すみません・・・
そ、そうだっ!!葵さんと仙水さんはどちらのご出身ですか?」
見惚れていたことを隠すように秀悠が苦し紛れの質問をふたりに投げかけた。
「えーと・・・出身は・・・」
まさか聞かれるとは思っていなかった葵は仙水と打ち合わせをしているわけがなく、何と答えようか迷っていた。
「あの森にいたということは、ここから遠くない場所に住んでおられるのですよね?」
「そ、そうですね・・・今日はちょっと遠出をしてきたかも?しれません」
曖昧に答えた葵に首を傾げた秀悠と曄子は料理を完成させて皿を運んできた仙水に話題をうつした。
「仙水さんはいくつなんですかっ!?」
ここぞとばかりに曄子が身を乗り出して仙水に詰め寄った。
「私ですか?
こう見えて結構年上ですよ」
神官である彼の年齢は、とっくに人としての年齢を凌駕している。見た目が変わらぬせいで若く見られるが、葵も仙水も実年齢を語るわけにはいかない。
「二十一です」
「結構年上だなんてとんでもない!!私より七つも年下だ!!」
葵と釣り合う仙水が秀悠にはとても羨ましかった。さほど年齢差もなく・・・なによりこの世の者とは思えないほどの美貌をふたりは持っている。(自分に持っているものはなんだろう・・・)と、内心ため息を零してしまった。
思わず秀悠の心の声を聞いてしまった葵はとっさに口を挟んでしまった。
「あなたには高い志があります。人々を助けたいというその気持ちが・・・人々を照らす光となるでしょう」
「え・・・?」