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氷炎組曲
【ファンタジー 官能小説】

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見えない利点-1

「ディーノはとても筋が宜しいのです。フランドルも上達が早く…」

 サーフィが嬉しそうに語るのを、ヘルマンは複雑な心境で聞いていた。

 そもそも、彼女が剣術師範をするきっかけを作ったのは、自分自身だ。
 ヘルマンは仕事柄、他国へ出向する事が多い。シシリーナ国に十八年もいたのは異例だったが、数週間くらい出かける事は、しょっちゅうある。
 その間サーフィが、他に知り合いもいないフロッケンベルク王都で塞ぎこまないか心配だった。
 そんな時、ちょうど士官学校で臨時講師を探していると聞き、サーフィを紹介したのだ。

 あそこの生徒は男子ばかりだが、職員には女性もいる。
 二週間の臨時雇いでも、それがきっかけで友人の一人も出来ればと考えていた。
 若い女性の剣術師範など…と、学長は最初渋ったが、神話の戦乙女を具現化したようなサーフィ先生は、生徒達から大好評。
 最終日には、今後も時々で良いから、士気をあげる為に来てくれと、学長自ら頼み込む始末だ。

 サーフィが週に一度、仕官学校に勤めているのは、そういう事情だった。

 生徒達はもちろん、他の職員から食堂のおばさんまで、幅広く知り合いもでき、教え子の成長を嬉しそうに話す。 

 最初こそ尻ごみしていたが、ヘルマンが思っていた以上に、適職だったらしい。

 万事、うまく行っているわけだ。
 素直に喜ぶべきだろう……


 喜ぶべき、なのだ……。



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