puppet title-8
「ま、同姓同名だったというだろう。別に美術部じゃなくとも絵は描けるんだしな!」
それにこんなに可愛い美しい富田一流たんが人を殺したりするはずが無い。 これは私が人生の中で培ってきた言葉だが『顔が綺麗な人間は、心も綺麗』という言葉がある。その法則でいくとこの少女は誰もが絶賛するほどの可愛い美しい心を持っているのだ。
「と言うことで、単なる同姓同名だったと言うことに決定!くっそー!私の宇桜優伊奈を殺した挙句、こんな美少女と同姓同名なんて!許せん、許せんぞぉ〜!なあ、君たちもそう思うだろう?」
私は私を取り囲むお人形さんたちに尋ねる。
「そうね、全くもって変態漢ね」「ん。あたしもそう思う」「うえ〜気持ち悪い。そんな奴、いるの?なんかの冗談じゃなくて?」「そういう変態は死んで欲しいよね。っつか死ね」「そうねえ。あなたが怒るのも無理ないわ」「うんうん。至極正論だよ、それは」
ああ、やはり私は間違ってはいない。14脚並んだ豪奢な椅子に、淑やかに座った美少女たちがこんなにも私を支持してくれる(もちろん彼女たちは喋ることはできないものの)。私は一人ではないのだ!たったそれだけのことを幸せに思える人間はこの世何人いるだろうか?世の中は自分の周りにいる人々への感謝の念を忘れてはいないだろうか?もちろんそれはそれで幸せなことかもしれない。幸せを幸せと認知できなくなると言うことは恵まれた人間でしかできないことだ。恵まれていると言うことはやはり、それもまたやはり幸せなことだと思う。 が、やはり私は感謝の気持ちを忘れたくない。どんなに恵まれていたとしても、だ。そして、そしてだ!なんと素晴らしいことだろう!なんと私は幸せな男なのだろう!私が、私が、そうこの『私』が!感謝する相手と言うのはこの世の選りすぐりから、この世のものとは思えない美少女たちばかりなのだ!…私はついこの間まで、重大な勘違いをしていたのだ。それは、人間の価値は見た目ではない、というふざけたモノだった。感情ばかりが先走って、間違いに気付かなかったのだ。しかし、私は間違いに何とか気付くことができた(それもまた私・里・韻・┐里覆と・・・里・・欧覆里世・。やはり人の価値は見た目によって左右されるのだ!と、いうことは、ここに集まった人形たちは各々トップクラスの人間性を保持していたことになる。って何で過去形にしてるんだ私は!トップクラスの人間性を保持していることになる。ああ、ああ、素晴らしい!ここまで恵まれた人間はそういまい!私が、この『私』が、他の誰でもない『私』の、感謝すべき人間と言うのは皆一様にして、てもとても素晴らしい人間ばかりなのだ!ありがとう、私の人形たち!そして、私にこんな大きな幸福を与えてくれた神よ!
…さて。何はともあれ、私は一刻も早く、富田一流をお人形にしてあげたい。
私は白衣を着たり、富田一流を抱きかかえ運んだりして、準備を始める。
ひとをお人形にするための空間はまた別の部屋だ。私は沢山の、愛しのお人形達に見送られながら部屋を出る。すぐ戻るからね、みんな。いい子にして待っているんだよ。
コレクションにするための部屋はなんとなく手術室を思い出させる造りになっている。実際私も手術室と呼称している。大きな証明の下にある寝台。キャスターに乗せられた白銀のメスと、数々の薬品。
これか一般病院と違う点は寝台が布製ではないということ、シャワーがあることだろう。寝台は陶器でできていて、排水溝もある。病院と美容院(←洒落だよ)が一緒くたになったようなものだ。
ああ、一般病院と違うところといえば、窓があるところもそうかな。カーテンもあるがあまり閉じたりしない。生垣があるから隣のお宅から見えることは無いだろうし、美少女をお人形にするための作業中ではもちろん電気をつけるのだが、それが追われば電気を消して月明かりだけで少女の美しさを楽しむのだ。ほら、新婚初夜でも電気を消すだろう?あれと似た感覚だ。
そもそも、お人形になることの利点は何か?もちろんそれは………永遠の美しさだ。人は誰でも老う。それだけは誰にでも確実にやってくる運命だ。老いというものは、本当に怖い…なにせ美少女が美少女ではなくなるのだから…
この広い世界で美しいものは、まあそれなりに数がある。でも、その中でも一番輝いているのはやはり、美少女!これしかない!一瞬の儚い存在である美少女たち…その儚さがより美しさを引き立てるのであろうか?しかし、世界でも最高峰の美しい存在を指を咥えて、老いて醜くなるのはあまりにも惜しい。
だから私は悪魔に魂を売ってでも、その美しさを永遠にしようと思ってしまったのだ。
お人形、というのは私の考えうる限り最高の形だったのだ。
美しさが永遠となると共に、美少女達が常に私を中心にいてくれる。振り返れば美少女達がすぐそこにいる。
お人形、それは私が考えた最高の方法であるのだ。
「さて…始めるか………だはぁー!!緊張するなあ、もう!」