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二兎追う方法、教えます
【学園物 官能小説】

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誘う兎-4

 六限は体育だったが、何をやったかはあまり覚えていない。 
 無論、先程のヨウコの悪戯がまだ強烈に頭に残っているからだ。
 体育は男女一緒にはしない。男子が体育の時は、女子は家庭科をやっていた。
 六限を終えると、今日の授業はこれで終わりである。
 このあとは、各自めいめい、帰宅するなり部活に精を出すなりする事になる。
 俺の場合は、当然、生徒会室に行く事になるのだが……

 『あとは、放課後』

 ヨウコの意味深な台詞が頭に残っている。それで、なんとなく行きにくかった。
 男子は体育の後だから、ヨウコは俺よりも早く生徒会室には居るはずだ。
 ツキコの方は、気の毒なことに、今日は七限がある。
 外国語科は普通科より授業数が若干多く設定されているからだ。
 もっとも、ツキコはそんな事を苦にしないだろうが。
 
 生徒会室前。俺は、軽く深呼吸をして、ドアをノックして中に入った。

「リクオ君、遅かったわねェ。ねェ、そこのドアの鍵、かけてくれる?」
「え、な、何で……?」
「何でって、しらばっくれちゃってェ。早くしないと、七限、終わっちゃうよ?」

 ヨウコは、イタズラっぽい顔をして、机の上に肘を立ててその上に顎を載せている。
 俺はガチャリと鍵をかけた。
 何か後戻り出来ない場所に入ってしまったようで、期待と不安が俺の中で入り交じっている。

「ちょっと、そこに立ち尽くしてないで、こっちに来なよォ? 話しておきたい事があるんだァ?」

 話しておきたい事?
 いつもの座席に向かおうとすると、ヨウコが俺の手を引いて、彼女が座るはずのフカフカの椅子に俺を座らせた。
 ヨウコは、その座席の後ろに回りこんで、話し始めた。

「あのさ、こないだ話ししたこと、少し訂正」
「こないだの話? 何を訂正するんですか?」
「リクオ君がツキコちゃん好きって話。逆なのかなぁって。ツキコちゃんが、リクオ君の事好きなんじゃないのかなァ? 違う?」

 ギクリとした。俺の背後から、ヨウコの声が飛んでくる。


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