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ゼビア・ズ・ショートストーリー
【ファンタジー その他小説】

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雪の贈り物-7

『……アースが待ってるぞ』

 グロウは顎を動かしてリンを促し、部屋から出たリンはグロウの腕に自分の腕を絡めた。
 ただそれだけだったが2人を包むオーラがとても穏やかになったのだった。


「お?仲直りしたか?」

 2人して部屋に戻ってきたのを見たアースが、メリーを高い高いしながら笑う。

「ケンカ、めっよ」

 メリーにまで怒られたリンは少しばつの悪い顔で肩をすくめた。

「さっき、メリーの波動を辿ってみた。場所はここより14km離れた場所にあるトリア村。1週間前に野盗に襲われてる。その時、何人か行方不明になったらしいからその内の1人じゃねぇかな」

 グロウとリンが仲直りをしている間に、メリーと遊びつつここまで調べあげたアースにグロウとリンは舌を巻いた。

「多分、野盗に拐われて本能的に危険を感じたメリーが魔力を発動させ、野盗が堪らず捨てたってトコだな」

『さすが』

「これでもゼビア次期国王代理。ゼビアで起こった事件は大体頭に入ってんだよ」

 アースは自分の頭を指でツンツン突つき、メリーもそれを真似して自分の頭を突っつく。

「騎士団員を派遣させて事情を話し、迎えに来てもらうのがセオリーだが……メリーは魔力持ちだ。まだ親も気づいてないかもしんねぇから俺が行って事情を説明してくる……んで、育てる覚悟があるなら迎えに来てもらう……どうだ?」

 反対する要素も無く、リンは渋々頷いた。
 そういう訳でアースが村に行く事になるのだった。

 それから数日後……アースの予想は大当りで、メリーの親が迎えに来る事になった。
 村中と騎士団で行方不明者の捜索を続けており、見つかっていなかったのがメリーだけだったらしい。
 メリーが無事な旨を伝えると村中が歓喜に湧いたそうだ。


「捨て子じゃなくて良かったけどぉ……やっぱり返したくない〜」

「ない〜」

 親が迎えに来る当日、リンはメリーを抱いたまま離そうとしない。
 まあ、メリーも楽しそうに真似してるので良いだろう。

『リン、来たぞ』

 窓の外を見ていたグロウが迎えに来たのを伝え、リンは少し寂しそうな顔をした後、微笑んで顔を上げた。


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