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ゼビア・ズ・ショートストーリー
【ファンタジー その他小説】

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雪の贈り物-8

「メリル!」

「マム!」

 騎士団の馬車から降りた母親を見た瞬間、メリーは身を捩ってリンの腕から抜け出す。
 駆け寄る母親に向かって、ぽてぽてと危なっかしい足取りで歩いて行くのをリンはハラハラしながら見送った。

「メリルぅ!良かった……本当に良かった」

 メリーを抱きしめた母親は泣きじゃくり、メリーもつられて泣きながら母親にしがみつく。
 その2人を父親が大きな腕で包み込んだ。

『メリルだったか』

 舌ったらずのメリーではちゃんと発音出来なかったらしい。

「メリルも可愛いわ」

『だな』

 親子の再会を眺めていたら、父親が2人に気づいて近寄ってきた。

「ありがとうございました……何とお礼を言ったらいいか……」

 リンの両手を握ってぶんぶん振る父親に、グロウは嫌な顔をする。
 どんな状況であろうと、リンに触れる男は許せないのだ。

「どう致しまして」

 リンはグロウの足を踏みつけて父親に微笑む。

「魔力が暴走する事があったら何時でも連絡下さいね」

 さっきまで子供みたいにグズってたくせに、学長らしい対応をするリンにグロウは呆れながら足を引き抜いてそっぽを向く。
 そこにメリー……メリルを抱っこした母親が来て頭を下げる。

「ありがとうございました」

「もう、良いですから……メリー、元気でね?」

 リンがメリルの頭を撫でると、メリルはきょとんとしてリンの長い髪を掴む。

「リンも、いっしょ」

 一緒に行こうと言うメリルに、リンは困った顔をする。

「一緒には行けないの、ゴメンね?」

「やんっリンも、にゃんもいっしょ!」

 メリルはふにゃっと顔を歪めて首を横に振った。

「じゃあ、代わりにこれをあげるわ」

 リンは両手を出して手の平を上に向ける。
 それをジッと見るメリルの目の前で、ポンっと音を立てて現れたのは……黒猫のぬいぐるみ。

「にゃん!」

「そう、にゃんよ。この子は一緒に連れてってね?」

 グロウに似せて作った黒猫のぬいぐるみは、リンが魔法を使わずに作った。
 金色の目はタイガーアイという石を使っており、緊急時に割るとリンとグロウに居場所が解るようになっている。
 と、いう事をグロウは両親に説明し、学校で使っていたメリルの服やお気に入りの玩具を渡した。
 その中には特別製の暖房用水晶玉も入っており、予備の魔力封じの護符も入っている。
 まるで初めてお泊まりに行かせる我が子に沢山の荷物を持たせる過保護な親のようだ。


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