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新・ある季節の物語
【SM 官能小説】

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(冬編)-5

ヒュン… ビシッ… あうっー! 

鞭に伝わる男の弾力のある肉肌の感触… 薄赤い条痕がうっすらと彼の白い臀部に浮き上がる。


ビシッー、ビシッ…

乗馬鞭を男の臀部に小刻みに振るわせると、彼は、背中を強ばらせるように烈しくのけ反る。
幾条もの細い筋が、彼の尻肌に折り重なるように赤い模様を描いていく。

ああっーっ…あうっー

でも… 激痛に喘ぐ男の快感に充ちた悲鳴は、なぜかSMクラブでS嬢をしていたときのよう
に、心地よい疼きを私にもたらすことはないような気がした。


私はハイヒールの先端で、床にひれ伏した男の頬を小突き、そのヒールの先端を彼の薄い唇の
中にねじ込む…。男は苦しげ頬を歪めながら嗚咽を洩ら続けた。

「…変態! あなたって、どうしようもない人間だわ…!」 

私は、まるで自分で自分を罵倒するように言葉を吐くと、イマムラの影がふつふつと流れるよ
うに脳裏を横切っていく。


床にひれ伏した男は、酔ったように目を潤ませ、掲げた臀部をヒクヒクとを喘がせながら、私
のハイヒールの裏から爪先までねっとりと舌を這わせていった。


「…ほら、もっとしっかり舐めるのよ…」と言いながら、男の臀部を乗馬鞭の先端でピチャピ
チャと打ち叩く。
 
苦しげな男は、私に命令されるままに、ハイヒールの先端を口に含み、唇の端から涎を垂らし
ながら頬を強ばらせた。すでに堅く勃起した彼の肉幹は、緑色の血管が浮き出し、亀頭の粘膜
からは、透明の汁が溶けた水飴のように糸を引き、床に滴り始めていた。


でも… なぜ、私は、恋をしたイマムラに、鞭を振り下ろすことができたのだろうか…。



冷え冷えとした十二月の漆黒の夜空の果てから、まるで白い蝶のようにひらひらと雪が舞い降
りてくる。SMホテルでのプレイを終えた私は、街角でひとり佇みながらコートの襟を立てる。

ふと立ち止まり、空を見上げた私の頬に冷たい雪がふれると、なぜか涙が頬を濡らすように
溶けていった。

小雪が舞い散る暗闇の中を、あてもなくどこまでも歩きたかった。私は立ち止まっては歩き、
歩いては立ち止まった。振り返ることもなく、かといって歩いていく先を見つめることもなか
った。それは、まるで今の私自身そのもののような気がした。




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