K×3-1
第1話 スーパースラッガー
甲子園・・・
それは高校球児なら一度は夢見たであろう憧れの聖地
本当の強者達だけが辿りつける場所・・・
この話は甲子園を目指し夢見た球児の話である
ここは県立の岸鷲(きしわし)高校
県内でも有数の進学校であり
部活も盛んである
バレーボール部全国大会出場
サッカー部近畿大会ベスト4
などなど輝かしい結果を残しているクラブも多い
肝心の野球部はというと
12年連続、1回戦敗退という、屈辱的な結果を残している
では野球部の練習風景を見てみるとしよう・・・
「1・2・鷲校ファイト」山口主将が先頭でランニングを行っている
声が小さい、動きにヤル気が無い。
ランニング一つを取ってみても弱小校というのはすぐに分かる
彼らは甲子園を目指しているわけじゃなく、ただ大学に進学する時に部活をしていたら推薦などで有利だから野球をしているだけである
その覇気の無いチームで、ただ一人、声を大きく出し真剣にランニングに取り組む選手がいる・・・
彼の名は太田 輝(おおた あきら)2年生、弱小校で一人甲子園を夢見る男だ
「ランニング終了!!
全員集合!!」
約1キロという、短いランニングが終わり、山口は集合を掛ける
ダラダラと部員達が集まる全員集まったのを確認すると、山口は話を始める
ちなみに岸鷲校野球部は顧問の先生が無気力で全く練習に来ないので実質、山口が顧問のようなものである
「みんなも知ってると思うが今日は新入部員が入部 して来る」
岸鷲野球部の部員数は12人、その内幽霊部員が2人3年生が4人なので1年生が最低4人は入らなければ3年が引退する夏以降は試合に出れない事態が起る
「というわけで新入部員が来たら、まず自己紹介をしたいと思う」
と山口は続ける
「新入部員入るかなぁ〜?輝!お前はどう思う?」
このいかにも軽そうな性格をしてそうなのは大沢仁(おおさわ じん)
中学の頃から輝と一緒の野球部で野球を続けてきた
「入ってくれなきゃ困るよ試合に出れなくなるし」
「ははは〜〜〜真剣だね〜!まっ!それ が輝のいい所なんだろうけどねぇ〜」
そうこう話ている内に新入部員達が集まってきた
「1.・・2.・・3.4」
輝は入って来た新入部員達の数を数える
なんとかギリギリ4人入部してくれた
「よしっ!4人いる」
輝はガッツポーズを作り喜ぶ
「それでは新入部員が来た所で自己紹介を始めようか…」
山口は部員達を見渡すとそう切り出した
「では、俺から始めよう
俺は、岸鷲野球部の主将を努めている山口です
守備位置はセンター
短い間だけど、よろしく」
自己紹介は山口から始まった
「初めまして〜
えー自分はショートを守っている2年の矢沢と言います・・
ってなわけでヨロシク」
仁の自己紹介が終わり、次は輝の番となった
「こんにちわ!僕は2年の太田といいます!守備位置はピッチャーです
これから皆と甲子園を目指して頑張りたいと思うので宜しく」
「こっ甲子園!!!」
「弱小校で甲子園とか言っちゃてるよ、この人・・」
「今どき、こんな野球バカがいるとは・・・」
輝の甲子園と言う言葉により新入部員達が騒ぎ始める
気まずい空気が流れ始めた
「太田で最後だな?
これで自己紹介を終わりにする
今日はこれで練習終了
解散!!」
場の気まずい雰囲気を打ち壊すように山口が解散を告げる