17-2
帰宅し、ダイニングテーブルに座って離婚届を記入した。最後に判をついて、ボールペンと一緒にそこに置いたまま、私は寝室へ向かった。
客用の布団をクロゼットから取り出し、それを敷くと、私はそこに横になった。
スマートフォンが暗闇の中で光った。見ると、真吾からのメールだった。
『会う事は出来ない?』
会いたかった。今すぐにでも。無性に会いたかった。
『出来ない』
私は返信をし、布団を被った。もうすぐ三月になる。風の香りが変わる。
私の生活も変わる。私自身は......変われるだろうか。真吾の優しさに甘えてばかりの自分から、脱却できるんだろうか。