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溺れる爪痕
【ファンタジー 官能小説】

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愛撫-11

 「・・・っ」

食い縛った歯をすり抜け吐息は漏れる。呼吸さえも止めんとばかりに塞ぐ彼女にアズールは手を伸ばし、それをほどいた。

「は、・・・あ」

「これは駄目。ちゃんと答えてくれないと終わるに終われないよ」

「・・・・・・・っあ」

声を発さずにアズールの唇が動く。すると見えない糸に操られるように少女の四肢が空中に持ち上げられる。

みるみるうちに両手首はクロスし頭上に、膝は元のひじ掛けに縫い付けられるようにピタリと止まった。

少女はアズールを睨む。

「逃げたりしないって、言ってるだろ?」

「君の為だよ。無駄な体力使いたくはないだろう?」

「なっ・・・」

「仕事も捗らないしね」

大きく広げ開かれた足を撫で、ソファーの回りを一周するとアズールはひじ掛けの端に半身を預け少女を見下ろした。

先ほどとは反対になった視線がぶつかり、アズールからの眺めは少女の全てを一望できる。

「決めた。君の名前はシウにしよう」

「・・・し?」

「シウ」

「・・・ぁっ」

耳に近付いた低い声が言う。火照りを吐き出すように少女の唇から熱い息が落ちた。

指は首筋をなぞり鎖骨の線を確かめるようにゆっくりと降りていく。

見えない何かに拘束された両腕がビクンと跳ねた。


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