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サクラ大戦〜独逸の花乙女〜
【二次創作 その他小説】

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サクラ大戦〜独逸の花乙女〜-9

「そう、天城龍一郎少尉を現時点をもって、独逸華撃団隊長に任命する」
ダイリーが試すかのような鋭い視線で龍一郎を見る。
龍一郎は敬礼でそれに応える。
「了解、これより独逸華撃団隊長の任に就きます」
ダイリーは頷き、命令を下す。
「これが独逸華撃団の初任務だ、頑張りたまえ、諸君」
「「了解!」」
華撃団三人の声が重なる。
格納庫のアイゼンリッターに乗り込み、龍一郎は発進の号令を掛ける。
「独逸華撃団空組、出撃せよ!」
「了解!任せてくれよ〜、隊長」
「キャロル・ムスタング出撃準備完了!」
二人がそれに応じる。
三体のアイゼンリッターは弾丸列車「ヴァーレ」に組み込まれ、目的地に向かう。
ヴァーレが格納庫から姿を現し、蒸気管を雄叫びの如く盛大に鳴らす。
「ヴァーレ、スタンバイOK!稼働率90%突破、行けます!」
ミリーが目の前のパネルに映された数値を読み上げる。
「ヴァーレ発進!」
アスカのかけ声と共に目的地までのレールをヴァーレが疾走する。

「バ、バカな、一個中隊がたった三機にこうも容易く敗れるとは…………」
その頃、エバースヴァルテではアイゼンギガントを包囲した陸軍蒸気隊が三機の改良型スピットにほぼ全滅状態に追い込まれていた。
スピットとは英国産の軽蒸気で、スピットシリーズと言い、欧州大戦後期に開発され、その汎用性から名機と名高い機体である。
今、陸軍蒸気隊を壊滅に追い込んだ機体はスピットに酷似しているが、軽蒸気としてはかなりの大型機であり、改良型であることが窺える。
余談ではあるが、欧州大戦で独逸に蒸気戦で圧倒された英国は終戦後、アイゼンシリーズを基にした重蒸気開発計画を進めていた。
その改良型スピットが残った陸軍蒸気隊の隊長機に突進する。
「くそぉッ!」
隊長機は手足を損傷しており、動けない。
「ウアァァァァァ!」
モニターに映されたスピットがレイピアを片手に迫る。
ーガキィィンッ!
「!?」
その時、上空から銀色の光が舞い降り、隊長機に振り下ろされたレイピアを太刀で弾く。
光は天城龍一郎が駆るアイゼンリッターだった
スピットが危険を察知し、動けない隊長機と龍一郎のアイゼンリッターから離れる。
「き、君達は………」
陸軍隊長の声を遮って赤と青のアイゼンリッターが黒と銀のアイゼンリッターに続く。
「独逸華撃団、見参!」
三機のアイゼンリッターから増幅された声が響く。
「こちら、独逸華撃団、陸軍第32蒸気中隊、応答願います」
唖然とする隊長機に陸軍用の周波数で龍一郎の声が届く。
「はっ!、こちら第32蒸気中隊、隊長ハリスン・ラドフス大尉、独逸華撃団の増援に感謝する」
ハリスン大尉はようやくペースを取り戻し、軍人の取るべき対応をその脳裏で換算する。
「早速ですが、あのアイゼンギガントの横を警備している蒸気について情報を提供していただきたい」
龍一郎はスピットの性能とについて聞いておきたかった、情報一つの違いで戦況を打破することも可能であると考えていたからだ。
「欧州大戦後期のスピットシリーズに酷似しているものの、攻撃力、機動性共にアイゼンクライト?を上回っていることは確かだ………」
アイゼンクライト?は独逸陸軍の標準装備蒸気であり、霊子甲冑アイゼンクライトを改良し、霊子機関を排し、汎用性と量産性を向上させた機体であり、量産型とはいえ、独逸陸軍の現時点での最高峰の部隊に与えられる兵器である。
それが、正体不明の蒸気に壊滅的打撃を受けたのである。
その現実を再確認し、ハリスン大尉の言葉の語尾は苦渋に満ちたものだった。
「了解、スピットの全滅及びアイゼンギガントの捕獲もしくは破壊が当面の任務だ、行くぞ!」
「了解!」
任務の再確認を済ますと、三機はスピットにカメラアイを向ける。
「隊長、あいつら仕掛けてこないぜ?」
かすみの言葉通り、三体のスピットはアイゼンギガントの周りに三角形を描いたままこちらを静観していた。
(………こちらの戦力を吟味しているのか?)
こちらから攻撃すれば、先制はとれるだろうが、我々は初めての戦闘であることを計算に入れると先制しても仕留めきれるかどうか、不安が残る。
先制攻撃の利点はやはり敵に選択肢を与える前にダメージを加え、そのまま押し切れることにある。
しかし、即席のチームワークで敵の陣形に斬り込んでの各個撃破が可能か、さらに相手はアイゼンクライトの一個中隊を壊滅させているのだ。
「よし、キャロルは俺とかすみの援護、かすみは俺と相手に突撃する」
「了解だぜ!」
「解りました」
キャロルとかすみが龍一郎の作戦に乗る。
キャロルの機体には掌部分に霊子水晶が組み込まれており、搭乗者の霊力を光線にして発射することができる他、味方の傷を修理することも可能である。
「3、2、1、ゴー!」
かすみと龍一郎が隣接しながらスピットに突進する。
敵のスピットの装備はレイピアやランサーで近接戦闘用なので、銃撃の心配は殆ど無い。
唯一の遠距離兵器を搭載してあるアイゼンギガントは何故か動く気配が無い。
三体のスピットはアイゼンギガントを護るためか陣形を崩そうとはしない。
お互いの武器の間合いに入る前に二人のアイゼンリッターは左右に散解する。
「!!」
別れたアイゼンリッターの後ろには攻撃態勢に入っているキャロルのアイゼンリッターがいた。


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