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翼の記憶
【ファンタジー 恋愛小説】

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不穏な動き-1

彼らは葵に対する様々な想いを秘めながらも口に出せずにいた。






そして・・・






急に風の流れが変わった気がした葵は空を見上げた。言い知れぬ違和感に澄み渡る空の・・・さらに奥を覗き込むように凝視した。






(何?この感じ・・・)






上空に気を取られている葵に気が付いた斉条は同じく視線を上へと向けた。






「・・・葵様?いかがいたしましたか?空がなにか・・・・」






「気のせいならいいのだけれど・・・・」






葵は目を閉じて世界を見渡すように意識を飛ばした。各地に影響はないものの・・・波が荒いところがいくつか見受けられた。






目を開けて考える素振りをみせる葵に、このあと大和は果てしない責任と使命があることを身を以て知ることとなる――――・・・・。






集まった隣の農村からの男手を借りることが出来、町は徐々に復興の足をはやめていった。






次第に葵の姿は見えなくなり、大和が彼女への想いを馳せる時間も長くなってゆく。






(葵様・・・最後にお姿を拝見したのはもう十日も前になるか・・・)






最近では太陽が厚い雲に邪魔されているせいか、風が冷たい。夜には強風が吹き荒れ、せっかく再建した建物たちがどうにかなってしまうのではないかという不安さえ出てきた。






――――・・・・






その頃、王宮では・・・






「・・・葵様のにらんだ通り、天体の動きに影響されているとみて間違いないでしょう・・・」






静かにうなずいた彼女は、大きな被害が出るまえに手をうつ必要があった。






この世界の外・・・、すなわち宇宙という王の力の届かぬ場所の話で、この星にいくつかの惑星が接近しているのだという。






(惑星の軌道を修正する・・・?そんなこと出来るわけが・・・・)






(自分の力がどこまで及ぶのかわからない・・・大地を駆け抜ける力ならばまだしも、空へ向かって力を放出するというのは・・・)






しばらく考え込んでいた葵は決心し、口を開いた。





「斉条・・・孤児院を王宮から切り離します。そして蒼牙も偉琉も孤児院へ。斉条も王宮からはなれてください」





「・・・っ!!な、なぜ・・・・彼や施設がそうなるのは、遅かれ早かれ同じですが私まで・・・・どうして・・・・っ!!」




納得がいかない斉条は声を荒げた。





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