夜半の月-8
「ああ、いや……いやです……」
「ならば、何故俺にしがみついているのだ?」
「そ、それは……」
抱きしめた道長の体は大きく、わたしの細腕では抱えきれない。
弓の達人だという彼の腕は太くて、その腕でわたしの体をいつの間にか敷かれていた布団の上に押し倒すと、既にはだけている衣服を強引に剥がしてわたしの乳房に口をつけた。
わたしは、声を出さないように、唇を噛んでささやかな抵抗をしてみたが無駄だった。
道長の口が、わたしの乳首を吸い、軽く噛み始めるともう我慢など出来るはずもない。
ああっ……!
一度声を出してしまうと、もう声は止まらなかった。
道長が、わたしのうなじに口をつけ、乳房を揉み乳首を指で摘んだ。
「ああ、それ、いい!」
「うん? お前は、ここを摘まれるのが好きなのだな?」
しまったと思った。声を出すだけでなく、道長の愛撫にいいと応えてしまっていた。
たちまち恥ずかしくなったが、言ってしまったものは仕方がない。
道長がわたしを愛撫しながら、わたしの目を見つめている。
わたしは、どうもこの鷹のような目が苦手だった。苦手というより、恐れているのかもしれない。
心の奥底まで見透かされそうな気がした。
自分自身ですらよくわからない気持ちを、道長は見通しているように思えたのだ。
道長の腕が、わたしの太ももの間に入ってきた。
「あ、あああ……そこ、駄目ぇ……」
わたしはいやいやをするように、体を左右に振ったが、道長の太い腕から逃れることは出来ない。
内ももを触られると、ぞくりと体に震えが走った。
既にわたしの秘所がすっかり湿って、道長を受け入れる準備を整えてしまっている。
その事実を、道長に知られるのが嫌だった。
いや、本当に嫌なのだろうか。むしろ、触られるのを待ちわびているのではないか。
自分自身がわからない。
道長がまたわたしの唇を吸ってきた。と同時に、わたしの体が快感に包まれた。
彼の指が、わたしの口を吸いながら、秘唇に触れてきたのだ。
秘唇を指で広げて、ぽってり膨らんだ肉びらを指で揉み摘み始めた。
わたしはたまらず盛った猫のような声を出してしまうが、それでも道長はわたしの唇を吸い続けた。