夫は多忙-4
明らかに鬼頭の声だった。隣り合わせたアパートの部屋は対照的な作りになっているが、対になっている部屋に鬼頭もベッドを置いているらしい。家具の軋む音に混じって聞こえてくる、ペシュペシュと響く肉質的な音・・・鬼頭が喘ぐ、ハアハアと言う荒い吐息と、美菜子の名を切なく呟く声が入り交じる。
「あっ、あっ、出るっ・・・出るっ・・・美菜子ぉっ」
幸か不幸か、美菜子は先程会ったばかりの隣人に、オカズにされたようだった。美菜子は壁に肌を付け、乳首が紅く腫れるほどに乳房を擦り付ける。
「はぁっ、はぁっ・・・まだ・・・まだ・・・美菜子・・・」
再び、タムタムと肉質的な音が聞こえてきて、鬼頭は喘ぎながら美菜子の名を呼ぶ。呼ばれた美菜子は下着を納めている引き出しから、夫には秘密にしている道具を取り出す。シャーベットピンクをしたそれは色こそ可愛らしかったが形は男性器そのもの。あまり大きくないのは崇男に近いサイズを美菜子が選んだからだ。美菜子は手にしたそれの先っぽをいきなり銜え、口の中で唾液塗れにすると、すぐに股間へ運んだ。
―ぐじゅ、ぐじゅ・・・
(あぁぁ、早く入れてぇ・・・)
ろくに濡らしもしないで秘裂に運んだ疑似ペニスに陰毛が絡んだが、美菜子は先端で肉ビラを掻き回す。
―ぐじゅ、ぐじゅ、ぐじゅ・・・
指に摘まんだ乳頭を捏ね回して、膣穴からこぼれる淫汁を疑似ペニスに塗り付けていく。
「美菜子・・・美菜子ぉ・・・」
壁の向こうから鬼頭の呼ぶ声がして、美菜子は壁に尻を向ける。
(ここ、ここよ・・・)
ベッドに突っ伏して高々と突き出した尻を振りながら、美菜子は疑似ペニスを膣穴にヌブリと挿した。
(あぁっ、チンポぉ・・・チンポ、入ってくるぅ・・・)
―ヌプププッ
細身の疑似ペニスは美菜子の膣内に沈んだが、何か物足らない。
「おぉっ、美菜子っ・・・美菜子っ・・・」
(あぁっ・・・)
堪らなくなった美菜子が、尻を壁に押し付ける。
―ゴンッ!
「ひっ!」
膣穴から飛び出した疑似ペニスが薄い壁にぶち当たって豪快な音を立て、美菜子は息を飲んだ。
「あ、あ・・・」
シリコン製の亀頭部が美菜子の最深部でうねって子宮口を撫で回す。くぐもったモーター音だけが静寂の中で聞こえる。美菜子は膣に疑似ペニスを銜えたまま壁に耳を着けた。